【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その21)

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赤い巨人との戦いを乗り切ったドイツ軍は次なる作戦に。


ヴォルフスシャンツェの懲りない面々 - 1940年9月28日〜10月18日

9月下旬、レニングラードを攻略した北方軍集団とモスクワを攻略した中央軍集団が、レニングラードとモスクワ周辺に散らばる残存勢力の掃討を完了し、200個師団を超える赤軍は事実上壊滅した。南方軍集団はボルガ川周辺を制圧すると渡河を敢行し、カザン(現ロシア連邦タタールスタン共和国首都)を占領。バルバロッサ作戦で掲げていた目標ラインに到達した。
ソ連軍もポツポツと歩兵を繰り出しては進軍阻止を試みたが、グデーリアンやマンシュタイン率いる機甲師団に踏み潰されたうえに、容赦ない空爆に晒されて次々とロシアの大地に消えていった。残された最後の工業地帯ノヴォシビルスク(ロシア連邦ノヴォシビルスク州都)の陥落も時間の問題となり、ソ連の命運は風前の灯火となった。

ヒトラー総統の命令によりレニングラードがかつての名前「ペテルブルク」に戻された9月28日、観光三昧で遊び呆けていたポテンテはクレムリンから持ち出したスターリンの肖像画を担いでドイツへと舞い戻った。そして、その肖像画はヴォルフスシャンツェ正面玄関の片隅に飾られることとなった。
ただし、『ドイツ軍最良の将軍』というプレートを添えられて。

アドルフ・ヒトラー

モスクワとペテルブルクはどうだったかね?

カール・ポテンテ

はい、モスクワのクレムリンもペテルブルクの冬宮も、それは素晴らしいものでした。
総統も一度行かれてはどうですか?きっと気に入るものがあるはずですよ。

アドルフ・ヒトラー

ふん!ロシアの宮廷文化などドイツやフランスの物真似ではないか。
何が悲しくて、私があのような劣等民族の文化を見に行かなくてはならないのか。

カール・ポテンテ

そうですか・・・私はフランスなんかよりずっと好きですけどねぇ?それはともかく、総統閣下、これお土産です。つまらないものですが、エヴァさん(ヒトラーの愛人エヴァ・ブラウン)と召し上がってください。

アドルフ・ヒトラー

これは何だ?お菓子かね?

カール・ポテンテ

モスクワ土産といえば、これ。
はい、『モスクワの味 パルナス』のお菓子でございます。

アドルフ・ヒトラー

・・・・・・・ポテンテ君、嘘はいかんよ、嘘は。
パルナス製菓は2000年に清算して解散している。それにあれは日本の企業だろ。

カール・ポテンテ

げっ!どうしてそれを。

アドルフ・ヒトラー

私は何でも知ってるのだ。
『パパは何でも知っている』のパパよりも何でも知っているのだ。

カール・ポテンテ

お願いですから、Guicho Zurdoみたいなことを言わないでください。

アドルフ・ヒトラー

さて、それでは今後の方針について会議を始めようか。皆を呼んでくれ。


1940年9月の時点でドイツ軍は既にモスクワ、レニングラード、スターリングラードの主要三都市を陥落させており、またバルバロッサ作戦の到達目標としていたボルガ川西岸とカフカス地方の制圧も完了していた。
伸びきった補給線の維持に苦しみながらも、ドイツ軍はたった5ヶ月間でソ連軍をウラル山脈の彼方に追い払うという偉業を達成した。

アドルフ・ヒトラー

諸君の献身的な働きによってバルバロッサ作戦は成功に終わった!邪悪なボリシェヴィキの滅亡は時間の問題だ!私は、諸君のドイツに対する忠誠に感謝したい!

ルドルフ・ヘス

本日は『影の薄い副総統』こと私ルドルフ・ヘスが中東戦線について報告します。
まずはこちらの映像をご覧ください。

ヘス副総統がそう言うと会議室のカーテンが閉まり、正面に設置されたスクリーンに映像が映し出された。その映像はトルコで撮影されたもので、トルコ軍とイギリス軍が激しい戦闘を繰り広げている映像だった。
驚くべきことに大統領イスメト・イノニュがこの前線を訪れ、砲弾が轟く中で将兵を鼓舞する姿も映っていた。

イスメト・イノニュ

反撃せよ!ここが落ちたら首都アンカラが砲火に晒されることになる。何としても耐えるのだ!ケマル閣下が命を掛けて守ったこのトルコ共和国、むざむざイギリスに渡してなるものか!ええい、私にも銃をよこせ!

ドイツ軍のポーランド侵攻開始と同時にイラクとフランス領シリアに攻め込んだトルコ軍は、1939年冬にはシリア、レバノンを制圧し、バグダッド目前まで迫っていた。ところが、エジプトやインドから駆けつけたイギリス軍の反撃に遭い、さらには独ソ戦の開始によってカフカス地方からソ連軍にも攻め込まれ、あっという間に守勢に追い込まれていた。
その後もトルコ軍の戦況不利は続き、1940年の秋にはアナトリア半島北東部をソ連に、南東部をイギリスに奪われ、首都アンカラが陥落する一歩手前という危機に陥っていたのだ。

イスメト・イノニュ

ドイツ軍がモスクワを落としたという知らせが入った。もうすぐドイツ軍が助けに来るに違いない。兵士諸君よ、それまで耐えるのだ!

イノニュ大統領がそう叫ぶと、間もなく鉄十字の識別マークを持つ爆撃機がトルコ軍の背後から現れ、イギリス軍に向かって爆撃を開始した。兵士達の叫ぶ声が聞こえる。
「見ろ!ルフトバッフェ(ドイツ空軍)だ!ドイツ軍が俺達を助けに来たぞ!」

映像はここで終わった。
カーテンが開けられ、会議室に再び日の光が差し込むと、ヘス副総統が説明を再開した。

ルドルフ・ヘス

ご覧のとおりトルコはイギリスとソ連に攻め込まれ、「イノニュ危機一髪」の状況でしたが、バルバロッサ作戦を終えた空軍が支援に向かってピンチを切り抜けました。

アドルフ・ヒトラー

何という危ない戦いをしていたのだ・・・。
トルコがイギリスの手に落ちたら大変なことになっていた。

ルドルフ・ヘス

空軍がトルコ領内にいた敵軍をあらかた始末したので、トルコ軍は既に反撃を開始しています。しかし、さらに誤算が発生しまして・・・。

ヘルマン・ゲーリング

今度は何が起こったのだ?

ルドルフ・ヘス

去る8月13日、我が国に対して好意的だったイラン皇帝パーレヴィ1世がクーデターによって失脚し、イランは連合国に加盟してしまったのです。

カール・ポテンテ

新たに皇帝となった息子のパーレヴィ2世は親英米派ですからね。

アドルフ・ヒトラー

おのれ、イランめ・・・。我々と同じアーリア人でありながら我らを敵に回すとは。

ルドルフ・ヘス

イラン軍とイランに駐留していたイギリス軍がトルコへと向かっています。
我々は速やかにトルコへ援軍を送るか、イランを叩く必要があります。

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

その任務を担えそうな部隊は手近にいるのかね?

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

ハウサー中将とブラウヒッチュ中将の部隊がカフカスに展開していますが、たったの6個師団ですし、これまでの戦闘でかなり消耗しています。

カール・ポテンテ

私に良い案があります。レニングラード攻略を終えて遊んでいる北方軍集団を船でエジプトへ向かわせましょう。エジプトから東へ進んでイランを攻略するのです。

ヘルマン・ゲーリング

スエズ運河を制圧すれば、インドへ落ち延びたイギリスの地中海進出も絶てるし、一石二鳥だな。

カール・ポテンテ

それだけではありませんよ。エジプトからイラクへ向かう途中には何があります?

エルサレム・・・ユダヤ人対策か。確かに、これで連中を追放する場所が確保できるな。

アドルフ・ヒトラー

よし、決まりだ。その作戦で行こう。作戦名は『クルセーダー(十字軍)作戦』とする!

カール・ポテンテ

閣下、ダメです。その名前はイギリス軍がこれから使う予定です。紛らわしいので止めましょう。

アドルフ・ヒトラー

イギリス軍が?どうしてそんなことを知っているのだ?

カール・ポテンテ

私も何でも知ってるのです。
『パパは何でも知っている』のパパよりも何でも知っているのです。

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

もう、そのネタは止めろっての。


作戦は『クラフトヴェルク作戦』と命名され、ブロンベルク元帥率いる北方軍集団は「ドイツ・アラブ軍集団」と衣替えをして海路でレバノンへと向かった。補給網の確保を考慮して上陸地点はトルコに近いレバノンへと変更されたのだ。一方、バルバロッサ作戦に続くソ連攻略作戦『ゼーベルティーガー作戦』が発動され、カザンまで進出していたルントシュテット上級大将率いる南方軍集団は「ドイツ・シベリア軍集団」として引き続き西シベリア攻略をを担当することとなった。
そして、クルーゲ上級大将率いる中央軍集団は「ドイツ・インド軍集団」と命名され、バクーへの移動を開始した。彼らはバクーからイランを経由してインドへと向かうことになる。

アラブ軍集団、インド軍集団が次の作戦拠点への移動準備に取り掛かっている間、ゼーベルティーガー作戦によってさらにソ連奥深くを目指したシベリア軍団だったが、相変わらず深刻な補給難に苦しんでいた。
そもそも、高度に機械化されたドイツ軍が消費する物資の量は半端なものではない。そこで、車両輸送力の限られたドイツ軍は、補給物資の運搬を鉄道によって行おうとしていた。しかし、ソ連の鉄道は広軌(軌道幅1524mm)を採用していたため、西欧で一般的な標準軌道(幅1435mm)への変換作業が必要となる。ところが、工兵部隊の兵員不足によって作業は困難を極め、またロシア人のいい加減な工事によって敷設された線路は、主要路線を除いて補給物資を満載した貨物列車の重量に耐えられるものではなかった。

このため、ドイツ軍は主要都市までは貨物列車で物資を運び、そこからトラックに積み替えて前線まで輸送するという方法と取ることとなったが、この積み替え作業に多くの時間と人手を費やしていた。さらにロシアの劣悪な道路事情は重トラックの激しい損耗を招き、1940年秋には補給率の平均が60%台まで低下するという事態になっていた。

ドイツ軍は明らかに攻勢限界点に達しつつあった。兵站総監として陸軍の補給を一手に引き受けていたヴァグナー少将は、来る日も来る日も前線から届く矢のような催促に晒され、激務による過労とストレスによって物凄い勢いで白髪が増えていった。
このゲームで補給率を改善させる特効薬は、占領地に傀儡政権を立てて独立させ、直轄地を減らすほかに無いのだ。しかし、ヒトラー総統は「ドイツにとってのロシアは、イギリスにおけるインドと同じ」だと言う。ポテンテは白髪どころか、ハゲてしまいそうなほど悩んでいた。


《つづく》

【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その20)

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モスクワを陥落させ、戦争の勝利が見えたドイツ。さて、ポテンテはこれからどうする?


◆アンドレイ・ヴラソフの告白 - 1940年9月8日〜9月14日

テオドール・アイケ少将に殺されそうになっていたヤコブレフ青年を助けたポテンテがクレムリンに戻ると、ギュンター・フォン・クルーゲ上級大将が彼の元を尋ねてきた。ドイツ軍はモスクワ攻防戦の際に大量の赤軍将兵を捕虜としたが、その捕虜の中に彼への面会を希望する将校がいるのだという。
ポテンテは首をかしげた。
「はて?私は赤軍将校に知り合いはいないのだが・・・」

しかし、面会を断る理由も無いので、好奇心の赴くままにその将校に会ってみることにした。クレムリンの一室に設けられた面会室に足を踏み入れると、そこには牛乳瓶の底のような分厚いメガネをかけたロシア人将校が佇んでいた。まるで「キテレツ大百科」の勉三さんのようだ。

アンドレイ・ヴラソフ

あなたがポテンテ補佐官ですか?よく来てくれました。
私は元ソ連第2突撃軍司令官アンドレイ・ヴラソフ中将です。

カール・ポテンテ

勉三さんですよね?

アンドレイ・ヴラソフ

は?私の名前はヴラソフです。ヴ・ラ・ソ・フ!覚えていただけましたか?
ロシアのニジニ・ノヴゴロド州出身ですから、山形弁は話せませんよ。

カール・ポテンテ

勉三さんが山形県出身だって、どうして知ってるのさ・・・。

アンドレイ・ヴラソフ

キテレツの話はもう止めてください。私はあなたに大事なことを相談したいのだ。

カール・ポテンテ

大事なこととは何ですか?

アンドレイ・ヴラソフ

私、ヴラソフ中将と現在ドイツ軍の捕虜となっている元赤軍兵士80万人は、ドイツ軍と共に戦う用意があります。

カール・ポテンテ

な、何ですって?80万人!そいつは大変だ!総統に報告しなくては!

アンドレイ・ヴラソフ

お待ちください、ポテンテ補佐官。
確かに、私にはドイツ軍に協力する意思はあるが、それには条件があるのです。

カール・ポテンテ

待遇に関することですか?

アンドレイ・ヴラソフ

あなたは、私が自分の命が惜しくてドイツ軍に寝返ったと思っているのですか!
私は、自分の命など惜しくはないのです!

カール・ポテンテ

それでは、あなたの望みは何なのですか?

アンドレイ・ヴラソフ

ロシアをボリシェヴィキから解放すること。私はスターリンの首を取りたいのです。

カール・ポテンテ

あなたは赤軍の将校で、ついこの間までボリシェヴィキの一員として我が軍と戦っていたではありませんか。一体、どういう風の吹き回しですか?
それに、そのようなことなら、私ではなくて軍部に相談したほうがよろしいのでは?

アンドレイ・ヴラソフ

いや、あなたでなければダメなのですよ、ポテンテ補佐官。
「ローゼンベルク・ドクトリン」はあなた達の手によるものでしょう?

カール・ポテンテ

はい、私と、私の同志アルフレート・ローゼンベルク東方占領相が打ち出した政策です。

アンドレイ・ヴラソフ

私はボリシェヴィキを倒したいが、だからといって祖国ロシアをドイツに売り飛ばすつもりはありません。だから、本来であれば「スラブ民族は劣等民族」などと主張するヒトラーに協力できるわけがないのです。

カール・ポテンテ

確かに。

アンドレイ・ヴラソフ

しかし、あなた達がいれば話は別だ。既に「ローゼンベルク・ドクトリン」によってウクライナやカフカスの独立が約束されたと聞いています。ドイツにあなた達のような人達がいるのなら、共に戦いロシアをボリシェヴィキの圧政から解放したいのです。

カール・ポテンテ

その点について言えば、私達は同志となれる間柄でしょう。
しかし、ヴラソフ中将。私はあなたが何故ソ連という国を捨てるつもりになったのか、その点について疑問を感じているのです。

アンドレイ・ヴラソフ

私の家族を守るため。そして、私の贖罪のため・・・。

カール・ポテンテ

家族を守る?誰があなたの家族の命を狙っているというのですか?

アンドレイ・ヴラソフ

私はスターリンに疎まれていたのです。もし、モスクワから脱出することに成功しても、私も家族もスターリンに粛清されていたでしょう。
幸いなことに家族はまだ無事です。何としても助けなければ。

カール・ポテンテ

それでは、贖罪とは?

アンドレイ・ヴラソフ

私は貧しい農家に生まれました。それでも、父は身を削って働き、私を大学に行かせてくれました。そして、大学を出た私は農民達のために戦うことを決意し、ボリシェヴィキの掲げる理想を信じて赤軍に身を投じたのです。
しかし、スターリンの恐怖政治によって心ある人達は皆粛清され、でたらめな政策によって多くの農民が餓死しました。私は自分が誤っていたことに気づきました。彼らへの罪滅ぼしのため、私はボリシェヴィズムを打倒しなくてはならないのです。

カール・ポテンテ

分かりました、ヴラソフ中将。今日から我々は同志だ。共に戦いましょう。


こうしてヴラソフはドイツ軍へ協力することとなったが、彼が望んでいた「ロシア解放軍」の結成についてはヒトラー総統の許可が下りず、参謀本部の諜報部門へ配属されて大規模な対ソ諜報網を立ち上げることとなった。
赤軍と戦うことが叶わなかったヴラソフが酷く落胆したため、ポテンテは国防軍のハインツ・グデーリアン中将とヴァルター・フォン・ブラウヒッチュ中将に協力を仰いだ。彼らもまたポテンテと同様に、「ロシア人民ではなく、共産主義こそが真の敵」と考えている将校だったからだ。しかし、国防軍の答は「外国人であるロシア人部隊の創設はSSの管轄となるため、我々は関与できない」というものであった。

ポテンテはヴラソフにSSを頼るよう進言したが、誠実な人柄のヴラソフはポテンテとSSが敵対していることを慮ってこれを断り、諜報の世界で祖国解放のために戦うことを決意した。



ハインリヒ・ヒムラーの罠 - 1940年9月15日〜9月27日

モスクワ陥落後、中央軍集団は周辺に展開する残存兵力の掃討作戦へと出発したが、ポテンテはモスクワに残り、占領政策に関する事務に忙殺されていた。そんな忙しい毎日が続く中、憧れのモスクワに来たポテンテは時間を捻出しては、彼を慕ってクレムリンを訪ねてきたヤコブレフ青年の案内で市内観光を楽しんだり、ウォッカを飲みながらヴラソフ中将とロシアの将来について語り合う日々を過ごしていた。

モスクワ周辺に展開していた主力部隊の壊滅によって北部戦線の赤軍は総崩れとなり、散発的に攻撃を仕掛けては撃退され、敗走を繰り返すばかりだった。9月21日には北方軍集団がレニングラードに到達。状況は南部戦線でも同様で、南方軍集団の別働隊パウル・ハウサー中将率いる武装SS装甲師団が9月28日にはスターリングラードを、11月5日にはブラウヒッチュ中将の歩兵師団がアゼルバイジャンのバクーを制圧。ドイツ軍は恐れていた冬将軍が来る前にバルバロッサ作戦で目標に掲げていた重要拠点の制圧はほぼ完了した。
モスクワ攻防が天王山となった独ソ戦は一気に結末へと向かいつつあった。


モスクワの曇天を眺めながら、ぼんやりとした理想を頭の中で具現化させることに悩んでいたポテンテだったが、そんな日々も長くは続かなかった。先日の作戦会議で突拍子もない戦略を掲げて将軍達を怒らせたヒトラー総統は、国防軍と太いパイプを持つポテンテの存在が再び必要となり、彼はタイフーン作戦が一段落するとヴォルフスシャンツェへと呼び戻されることになった。
その頃、ヴォルフスシャンツェの総統執務室では、誇大妄想狂と偏執狂が何やら密談を繰り広げていた。

ハインリヒ・ヒムラー 

(偏執狂)
総統閣下、あの黒猫を呼び戻すという話は本当なのですか?

アドルフ・ヒトラー

(誇大妄想狂)
うむ、そうしようと思っている。

ハインリヒ・ヒムラー

せっかく東部戦線に追い払ったのに、どうしてそんなことを。
あいつは総統閣下に逆らったのですよ。

アドルフ・ヒトラー

私の作戦を理解しない国防軍の愚か者どもが、最近不穏な動きを見せている。
非常に腹立たしいが、独ソ戦が佳境に差し掛かっている今このときに国防軍と騒ぎを起こす訳にはいかないのだ。

ハインリヒ・ヒムラー

あいつはブロンベルク、フリッチュ、ルントシュテットなど国防軍の幹部と太いパイプを持っておりますからな。

アドルフ・ヒトラー

元はと言えば、お前とゲーリングのデブ野郎が、ブロンベルクとフリッチュを追い落とす陰謀に失敗したからこんなことになったのだ!他人事のように言うのは止めたまえ!あれさえなければ、今頃は私が国防軍総司令官を兼務していたのに!

ハインリヒ・ヒムラー

チャンスはまた巡ってきますよ。しばらくお待ちください、総統。


ドイツへの帰還を命じられたポテンテは、モスクワから鉄道でレニングラードへ向かい、そこから船でダンツィヒへ移動するという経路を取ることになったため、ここぞとばかりにレニングラードでも観光をして遊び呆けていた。ある日、いつものように散々遊び呆けてホテルに戻ると、フロントに彼宛の電報が届いていた。
「総統からの"早く帰って来い"という催促か?」

ポテンテの予想に反し、電報はヒャルマー・シャハト国防相からのもので、次のように書かれていた。

SSトSDニ 注意セヨ 貴官ヲ巡リ 不穏ナ動キ アリ


1938年、国防軍を我が物にしようと企むヒトラー総統とヘルマン・ゲーリング国家元帥(当時は空軍総司令官)、そしてSS(親衛隊)の権力拡大を企むハインリヒ・ヒムラーSS長官が、ブロンベルク元帥とフリッチュ総司令官を失脚させようと謀略を仕組んだ(ブロンベルク=フリッチュ罷免騒動)ことがあった。
彼らの突出を快く思わないポテンテと国防軍によって陰謀は阻止されたが、それ以来ポテンテはヒムラー率いるSSと、ヒムラーの部下ラインハルト・ハイドリヒ率いる国家保安本部(SDはこの組織の一部)から付け狙われ、護衛無しでは外出できない身分となっていたのだ。

ポテンテは受け取った電報を一瞥すると、細かく破いてゴミ箱に放り込み、うんざりした表情を浮かべてつぶやいた。
「ヒムラーとハイドリヒの野郎がまた何か企んでいやがるな?」


≪つづく≫

【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その19)

【おことわり】

カール・ポテンテ

総統、申し訳ありません。中の人がまたセーブデータを壊しました。

アドルフ・ヒトラー

何だと?あの男は以前にも一度データを壊しているではないか。
あいつには学習能力が無いのか?

 カール・ポテンテ

今回はグラフィック系のMODを入れたので、それをセーブデータにも反映させようと弄っていたら壊れてしまったそうで。

アドルフ・ヒトラー

それでは今までの話はどうなるのだ?

カール・ポテンテ

結局最初からやり直す羽目になりましたが、幸いなことに以前と同じような展開でゲームを進めることができたので、ほぼ同じデータを作ることができたようです。

アドルフ・ヒトラー

そうか。しかし、全く同じというわけではあるまい?

カール・ポテンテ

はい、前回からの変更点を下記に記載しておきます。

これまでのお話から次の点が変更になります。
過去ログを修正のは面倒だし話が混乱するので、そのままにしておきます。

※ 変更点
・イギリス国王が史実のとおりジョージ6世に変更
・前回データではイタリアに併合されたユーゴスラビアとギリシャが、今回は健在
・ただし、ユーゴでクーデターが起きて親独政権が倒れたので、中立国となっている
・一方のギリシャはイタリアと戦争中
・ルーマニアがイタリアに宣戦布告している
・外務大臣をノイラートからリッベントロップに変更済み
・スコットランドの独立はチャラ



ウィーン裁定 1940年8月18日〜9月6日

ヒトラー総統の唱える『戦争経済論』なるものによって一度はボツになりかけたモスクワ攻略作戦『タイフーン作戦』は8月下旬に発動され、モスクワ攻略を目標とする中央軍集団に加え、スターリングラードへ向かう予定だった南方軍集団も援軍として作戦に参加した。
東欧の占領地に関する政策を巡ってヒトラー総統と対立した総統補佐官カール・ポテンテは東部戦線へ左遷となり、ギュンター・フォン・クルーゲ上級大将率いる中央軍集団に加わっていた。憧れのモスクワ行きに燃えるポテンテ補佐官は戦車のてっぺんによじ登り、グデーリアンやロンメルの真似をして「進め!進め!」と大声を張り上げては将兵達に大層迷惑がられていた。
そんな中央軍集団がモスクワの200km南方トゥーラまで迫った9月5日、ウィーン裁定のイベントが発生した。ハンガリーが第1次世界大戦で敗北した際に失ったトランシルヴァニア地方を取り戻すべくルーマニアと激しく対立し、バルカン半島の混乱を恐れたヒトラーが裁定を行って問題を解決しようとした一件だ。

史実では、ルーマニアがドイツから安全保障を取り付けることと引き換えに、泣く泣くトランシルヴァニア地方をハンガリーへ割譲している。当時のルーマニアは既にソ連の恫喝によってベッサラヴィア地方を手放しており、ここでドイツやハンガリーまで敵にするわけにはいかなかったからだ。そして、ルーマニアはこの弱腰外交によってブルガリアにも付け込まれて黒海に面した港町コンスタンツァも割譲する羽目となり、ついには国王カロル2世が退位に追い込まれるという事態に至っている。
ポテンテがトゥーラで兵士達を相手に「美味しいロシアン・ティーの作り方」を講義していた頃、ドイツ・オストプロイセン州にある総統大本営ヴォルフスシャンツェ(狼の巣)ではヒトラー総統がしかめっ面をして地図を眺めていた。どちらに有利な裁定を下すか悩んでいるようだ。

アドルフ・ヒトラー

私は今、とても悩んでいる。皆の意見を聞かせてくれ。

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

どうして悩むことがありましょうか?
同盟国ハンガリーに有利な裁定をするのは当然のこと。

ルドルフ・ヘス

いや、ハンガリーが同盟国としての義務を果たしたことがありましたか?
むしろ、ここでルーマニアに恩を売っておくべきです。

アドルフ・ヒトラー

うむ、あのしみったれ野郎のホルティめは、ポーランドにもソ連にも一人の兵も送って寄越さないのだ。あんな奴に有利な裁定をしてやるのは実に癪に障る。

ヘルマン・ゲーリング

しかし、ここでルーマニアに有利な裁定をしても、奴らは日和見を続けますぞ。
おまけにハンガリーから恨まれることに。

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

ハンガリーに有利な裁定をすることによってルーマニアに脅しを掛け、奴らを枢軸同盟に引きずり込む作戦も可能ではありませんか?

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

ルーマニアはイタリアと戦争中だ。ルーマニアと同盟を締結したら、自動的にイタリアと戦争状態になるではないか!

ルドルフ・ヘス

腑抜けのイタリアなど、我が軍の敵ではない。
しかし、イタリアが連合国に加わってイギリス軍に駐留されたりすると厄介です。

ヘルマン・ゲーリング

我が国は特定の国に依存することなく様々な国から広く石油を輸入しているが、それでもルーマニアの持つプロエシュティ油田は魅力だ。何としても仲間にしたい。

アドルフ・ヒトラー

よし、決めたぞ。ハンガリーの要求は無視するのだ。ホルティの奴は怒るだろうが、私の知ったことではない。同盟国の務めを果たさない奴には何も与える必要は無い。

ヨアヒム・フォン・リッベントロップ

ルーマニアはどうしますか?

アドルフ・ヒトラー

友好国だったチェコスロヴァキアは既に消え去り、イタリアとは戦争中だ。もし、イタリアがユーゴスラビアに攻め込んだら、奴らの命運は風前の灯火になる。
そこで、ドイツがルーマニアを守ってやると伝えるのだ。ただし同盟締結はダメだ。

ルドルフ・ヘス

ハンガリーはこのことを根に持つでしょうね。

アドルフ・ヒトラー

ふん、どうせ奴らはドイツに喧嘩を売る度胸など無い。放っておけ。


こうしてウィーン裁定は史実とは逆のものとなり、ルーマニアはトランシルヴァニア地方を死守した。枢軸同盟の加入については、イタリアと交戦状態にあることがネックとなって見送られたが、ヒトラー総統がイタリアとの対決を決意した日にはルーマニアも同盟に加わるという密約が交わされた。
しかし、ルーマニアの政情不安は続く。ブルガリアのコンスタンツァ割譲要求に屈したため、ファシスト団体「鉄衛団」によるクーデターが発生したのだ。カロル2世は国王の座を追われ、息子のミハイ1世が復位した。
元々、カロル2世は王位継承権を捨てて愛人と国外逃亡するなど国王としての自覚が全く無い人物なくせに、ある日突然ひょっこり帰国すると彼の代わりに国王となっていた息子のミハイ1世を無理やり退位させ、独裁政治を敷くなどやりたい放題だった。そんなダメ国王カロル2世がついに愛想を尽かされたのがクーデターの真相のようだ。

要求を突っぱねられたハンガリーの宰相ミクロシュ・ホルティは激しくヘソを曲げ、全軍を首都ブダペストに集めて軍事パレードを連日開催するなど、ドイツに対してこれ見よがしに挑発行為を繰り返すようになった。



モスクワの誓い - 1940年9月7日

ウィーン裁定の2日後、9月7日に中央軍集団がモスクワを陥落させた。首都を守りきるべく部隊を集めて必死に抵抗したソ連軍だったが、中央軍集団のみならず南方軍集団まで加わっては勝ち目は無い。15個師団が首都に立てこもって抵抗したものの、昼夜を問わない激しい攻撃に晒されてついに敗走した。
ポテンテは生まれて初めて目の前で激しい戦闘が繰り広げられているのを見た。トロピコ島にいた頃に、暴徒と化した民衆やクーデターを起こした警護兵にマラカニアン宮殿(大統領官邸)を襲撃された経験はあったが、軍隊同士が衝突する大規模な戦闘は彼にとって初めての経験だった。
そして、轟く砲弾の音と、空気を切り裂く急降下爆撃機のサイレン音に、身が縮むほどの緊張感と恐怖、そして血液が逆流しそうなほどの興奮と高揚感を覚えた。
「これが戦争なのか・・・」

矢玉が飛び交う戦場の真っ只中にいるというのに、不思議なことに恐怖感はすぐに消え去った。「死ぬかもしれない」とは思ったが、死の恐怖よりも湧き上がる強い衝動にポテンテの心は支配されていた。人間は極限状態になると恐怖感が麻痺し、何か別のものに突き動かされる生き物らしい。


赤軍はモスクワ市内の各所に強力な防御陣地を築いて激しい抵抗を見せたが、クルーゲ将軍の絶妙の采配によって各部隊は連携網を寸断されて孤立し、次々と各個撃破されていった。戦闘が始まってから2日後、テオドール・アイケ少将率いる武装SS「トーテンコップフ師団」がクレムリンに突入して戦闘は終結した。史実とは逆にクレムリンの屋根にハーケンクロイツが翻ることになったのだ。
ポテンテがモスクワに入ると、スターリンは既にゴーリキー(現ロシア連邦ニジニ・ノヴゴロド州)に疎開しておりクレムリンはもぬけの殻となっていた。しかし、モスクワ陥落の知らせを聞いたヒトラー総統の機嫌は途端に良くなった。バルバロッサ作戦における三大目標のひとつが完了したのだ。ポテンテは赤の広場に一人佇み、ハーケンクロイツの旗がひるがえるクレムリンを見ながら心地よい達成感に酔いしれていた。

「私達はナポレオンも落とせなかったロンドンとモスクワを落とした。英ソはまだ抵抗を続けるだろうが、これで今大戦のドイツの勝ちは決まった。私はドイツを救ったのだ!」

しかし、そんな勝利の余韻を引き裂くように一発の銃声が赤の広場に轟いた。周りを見渡すと、広場の向こうにいるドイツ兵が何やら地元民と揉めている。市民に取り囲まれたドイツ兵が身の危険を感じて威嚇射撃を行ったようだ。
見る見るうちに集まった野次馬をかき分けて人だかりの中心へたどり着くと、そこにはロシア人の青年に銃を突きつけて何やら怒鳴り散らしているアイケ少将の姿があった。

カール・ポテンテ

アイケの叔父貴、この騒ぎは何事ですか!

テオドール・アイケ

おう、黒猫補佐官じゃねぇか。どうもこうもねぇ、このガキが俺様の戦車に向かって卵を投げつけやがったから、とっ捕まえてお仕置きしてやってるんじゃい。

アレクサンドル・ヤコブレフ

ドイツ野郎はロシアから出て行け!ロシア万歳!ロシア民族に栄光あれ!

テオドール・アイケ

まだ言うか、このガキ。きっちり落とし前つけてもらうけんの。覚悟しいや!

カール・ポテンテ

まだ子供じゃないですか。そのへんで勘弁してあげましょうよ。

テオドール・アイケ

黒猫さんよ、あんたは甘い!あんたみたいに甘い顔する奴がいるから、ユダヤ人やスラブ人のような劣等民族が増長するんじゃ!

カール・ポテンテ

戦車に卵をぶつけた罪により、市民が見ている前で公開処刑ですか?我々はボリシェヴィキの圧政からの解放を掲げて戦っているのです。私の目の前で軍規違反は許しませんよ!

テオドール・アイケ

ちっ、とんだ邪魔が入ったわい。野郎ども、引き上げるぞ!

カール・ポテンテ

ふぅ〜、危ないところだった。私が止めなかったら君は本当に処刑されていたぞ。つまらないことをして命を無駄にするな。ところで、君の名前は?

アレクサンドル・ヤコブレフ

アレクサンドル。アレクサンドル・ヤコブレフだ。れ、礼は言わないからな!

カール・ポテンテ

礼などいらないよ。それより、どうしてこんなことをしたんだ?

アレクサンドル・ヤコブレフ

世界征服を企むファシストから祖国を守るためだ!ロシア人はドイツ人の奴隷になんかならないぞ!

カール・ポテンテ

我々は「ロシア人」と戦っているのではない。我々の敵は共産主義だ。
我々ドイツ人が生き残るために、そして悪しき共産主義から世界を守るために戦っているのだ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

共産主義のどこが悪なんだ?資本家どもが労働者を搾取する社会に住む奴らに何が分かる。

カール・ポテンテ

スターリンのような血に飢えたケダモノが自国民を虐殺するのが共産主義か?
共産党の幹部が労働者を搾取してるのがソ連ではないか。支配者の首がすげ変わっただけに過ぎない。

アレクサンドル・ヤコブレフ

嘘だ!

カール・ポテンテ

イギリス軍もドイツ軍も、ソ連軍のように兵士の命を粗末にする戦い方はしない。兵士をかき集めてきて、政治将校が銃で兵士を脅して戦車に向かって突撃させるのが、自称「労働者の国」が労働者に対して行う仕打ちか?

アレクサンドル・ヤコブレフ

・・・・・・・。

カール・ポテンテ

私はこの戦争が始まって、初めて理解したことがひとつある。
富や名声を望む人の欲望が、そしてそれに付け込んだ権力者が戦争を起こすのだ。民族やイデオロギーの違いなど、さして大きな原因ではないのだ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

どういうこと?

カール・ポテンテ

私は、こんなに惨めで苦しい思いをしているのはドイツ人だけだと思っていた。しかし、それは違った。虐げられていたのはドイツ人だけではなかった。力を持たない者は皆苦しんでいるのだ。そういう意味では、君もドイツ人も同じなのだ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

あなたはそういう人達のために戦っているというのか?あなたはこのロシアを一体どうするつもりなのだ?

カール・ポテンテ

私がヒトラー総統の手下だと思ったら大間違いだ。人々を恐怖政治で支配するようなやり方では、私がGuichoZurdoの元を飛び出した意味が無いのだ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

え?ギチョ?ズルード?一体何のことだ?

カール・ポテンテ

私は世界を弄ぶあの独裁者に勝たなくてはならない。新しい世界を作るために戦っているのだ。奴と同じ道を取るくらいなら、故郷の毛蟹村で漁師でもやって暮らすさ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

ポテンテさん、意味が分からないよ!

カール・ポテンテ

私は、共産主義という名の圧政や帝国主義という名の搾取から、この世界を解き放つ。ヴェルサイユ体制という名のまやかしの世界秩序を木っ端微塵にする。
そして、その残骸の中から新しい世の中を築くのは、君のような若者達なのだ。

アレクサンドル・ヤコブレフ

僕に何ができるだろうか。

カール・ポテンテ

しばらくはドイツ軍の軍政が続くが、戦争が終わればそうもいかない。そのときが君達の出番だよ。それまでにどんな世の中にしたいのか、ゆっくり考えるといい。

アレクサンドル・ヤコブレフ

う、うん。分かったよ。

カール・ポテンテ

それじゃ元気でな。縁があれば、またいつかどこかで会うこともあるだろう。
ダスビダーニャ!


ドイツを救うために、そしてGuicho Zurdoに対する反発からナチ党に身を投じたポテンテだったが、幾多の他民族との邂逅が彼を変えつつあった。ドイツを勝利に導くため、目前の敵を倒すことに全力を尽くしてきた彼だったが、パリをロンドンを、そしてモスクワを落とし、欧州での勝利が見えた今、彼は戦争が終わった後の新しい世界について考える必要に迫られていた。
ロシア人の青年に向かって「新しい世界を作る」と宣言したポテンテだが、その新しい世界とは具体的にどのようなものか、実は考えたことがなかった。

「私はヴェルサイユ体制の打破を目標にして戦ってきたが、この戦争の帰趨はほぼ確定した。もはや我が国の負けはあるまい。しかし、これからどうしたらよいのだろうか?
私が作りたい世界とは一体どのようなものだろう?誰もが幸せに暮らせる世界?しかし、それを実現するためには何をすれば・・・」


≪つづく≫

【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その18)


【1945年5月、ベルリン陥落寸前にポテンテ補佐官が行ったラジオ演説より】

世界各国の諸君!私が黒猫ポンセ(ドイツ名カール・ポテンテ)である!

諸君、この世界は最悪だ!
ヤルタ協定だとか何とか協定だとか、私はそんなことには一切興味がない!
敗戦国を虐げる戦後秩序で問題が解決するような、もはやそんな甘っちょろい段階にはない!

こんな世界はもう見捨てるしかないんだ!こんな世界はもう滅ぼせ!
私には、建設的な提案なんかひとつもない!!
今はただ、スクラップ・アンド・スクラップ、全てをぶち壊すことだ!

諸君、私は諸君を軽蔑している。
このくだらない世界を、そのシステムを、支えてきたのは諸君に他ならないからだ。
正確に言えば、諸君の中の多数派は私の敵だ!
私は、諸君の中の少数派に呼びかけている。
少数派の諸君、今こそ団結し、立ち上がらなければならない。

奴ら多数派はやりたい放題だ!
我々少数派が、いよいよもって生きにくい世の中が作られようとしている!
少数派の諸君、戦争で何かが変わると思ったら大間違いだ!
所詮第二次世界大戦なんか、大国のお祭りにすぎない!

我々少数派にとって、戦争ほどばかばかしいものはない!
戦力の多い少ないで決めれば、多数派が勝つに決まってるじゃないか!

じゃあ、どうして戦争してるのか。
その話は、長くなるから、過去ログを見てくれ。
過去ログはたくさんあるから、どれも見逃さないように。

私は、この世界の、少数派に対する迫害にもう我慢ならない。
少数派の諸君、多数派を説得することなどできない!
奴ら多数派は、我々少数派の声に耳を傾けることはない!
奴ら多数派が支配する、こんなくだらない世界は、もはや滅ぼす以外にない!

国際秩序なんかいくら作ったって無駄だっ!!
今、国際連合で作られている様々な国際秩序は、どうせ全部全て奴ら多数派のための秩序じゃないか!
我々少数派は、そんなものに期待しないし、もちろん協力もしない!

我々少数派はもうこんな世界に何も望まない。
我々少数派に残された選択肢はただ一つ、こんな世界はもう滅ぼすことだ!
ぶっちゃけて言えば、もはや人類滅亡しかなーいっ!!!

少数派の諸君!!!
これを機会に、人類滅亡の恐ろしい陰謀を、ともに進めていこうではないか!
便所の壁に連絡先が書いてあるから、戦争中でも、終わってからでもかまわない、私に一本電話を入れてくれ。
もちろん兵役の基準に満たない未成年の諸君や、ドイツ人以外の諸君でもかまわない。
我々少数派には、戦争なんかもともと全然関係ないんだから!

最後に、一応言っておく。
私が勝利したら、奴らはビビる!

・・・・・・私もビビる。

黒猫ポンセに悪意の志願兵を!黒猫ポンセにやけっぱちの志願兵を!
じゃなきゃ軍隊なんか行くな!
どうせ戦争じゃ何も変わらないんだよーっ!!!


カール・ポテンテ

うぎゃー!!!

カール・ポテンテ

はっ!夢か・・・。恐ろしい夢を見てしまった。
こんな演説をする羽目にはなりたくないものだ。

カール・ポテンテ

我々ドイツ人の崇高なる戦争を、神が見捨てるはずがないのだ。
モスクワ陥落は目前だ。さぁ、今日も頑張ろう。


ポンセの野望、近日中に再開予定。
新キャラも続々と登場予定。しばし待て!

新キャラの面々

勉三さん? おにぎりワッショイ? 謎の美女? などなど

【黒猫ポンセの野望】しばし休止のお知らせ

現在お届け中の「黒猫ポンセの野望〜HEARTS OF IRON II リプレイ」ですが、諸事情によりしばらくお休みします。いずれまた再開しますので、しばらくお待ちを。

カール・ポテンテ

総統閣下、ぎ印ドイツ帝国が地震により壊滅しました。

アドルフ・ヒトラー

なんと!それでGuicho Zurdoは生きておるのか?

カール・ポテンテ

はい、瓦礫(キャッシュ)の中からコンテンツを拾い集めて再建する模様です。しかし、しばらく時間を要するでしょうね。

アドルフ・ヒトラー

戦う相手を失った我々の戦いはどうなるのかね?

カール・ポテンテ

どうしようもないので、しばらくお休みします。再建のメドが立たないようであれば単独で話を進めることにしますが。

アドルフ・ヒトラー

このブログは、それまでどうなるのかね?

カール・ポテンテ

中の人が書きかけて放置している「バルト三国旅行記」や「香ばしき国々」が登場するのではないかと思われます。

アドルフ・ヒトラー

そうか。それでは、また会う日までさようならだ。

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