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2006.07.17 (Mon)

黒猫がウクライナのガス問題について語る③ - ロシアに逆らうとこうなります

実は、ロシアがエネルギーをネタに周辺国を締め上げるのは今回が初めてではない。ウクライナと並んで親米反露色の強いグルジアやモルドバはもっと悲惨な状況になっている。
それでは、ロシアに逆らった国がどのような目に遭ったか見てみよう。

◆グルジアの場合
黒海とカスピ海に挟まれた山岳地帯カフカス地方の真ん中に位置するグルジアは、2003年のバラ革命によってシュワルナゼ政権が崩壊し、露骨に親米反露を掲げるサーカシュヴィリ政権が誕生した。

カフカス地方位置図

この地域に親米政権が誕生して米軍が駐留するようなことになれば、ロシアやイランは自国の安全保障を背後から脅かされることになる。カフカス地方は石油がとれるアゼルバイジャンを除けば山ばかりで役立たずの土地だが、地政学的にはとても重要な場所なのだ。

グルジア西部のアブハジア地方や北部の南オセチア地方は、地方政府やゲリラがグルジアからの分離独立を掲げて武装蜂起し、グルジア政府の統治が及ばない実質的な独立国となっている。そして、ロシアはグルジアの力を削ぐためにこれらの国をこっそりと支援している。一方のグルジアも北部のパンキシ渓谷がチェチェン・ゲリラの巣窟となっているのに、見て見ぬふりをして彼らがロシア軍を攻撃するのを放置している。
そんなわけで、ロシアとグルジアはもの凄く仲が悪い。

これがガスプーチンだ!にも関わらず、グルジアはガスのみならず電気までロシアに依存しており、プーチンの嫌がらせでガスや電気の供給を止められたことがある。ロシア政府は「反ロシアのテロリストによって送電線を爆破された」と言い訳したが、チェチェン・ゲリラをはじめとして、あの地域でロシアと戦う武装勢力が反ロシアを掲げるグルジアを攻撃する理由が無い。
ロシアから数々の嫌がらせを受けているサーカシュヴィリ政権だが威勢は良く、一向に反ロシアの矛先を納める気配は無い。

余談になるが、怒ったグルジア市民が首都トリビシのロシア大使館の前で抗議デモを行っているのを映像を数年前に見たことがあるのだが、その際に帝政ロシア末期に暗躍した怪僧ラスプーチンにひっかけて「ガスプーチン」と書いてあるプラカードを掲げている奴を発見して大爆笑した。


◆モルドバの場合
モルドバはウクライナとルーマニアの間にひっそりと存在する、欧州で最も貧しい国のひとつだ。旧ソ連諸国の中ではタジキスタンと並んで最も影が薄い。

モルドバ位置図現在のモルドバは2001年の総選挙で大勝した共産党が政権を担当しており政治的には反ロシアではないのだが、最大の援助国であるアメリカや事実上アメリカ政府の影響下にあるIMFの意向を無視できず、反ロシア色を強めている。
また、国土の中央を流れるドニエストル川東岸(トランスニストリア)の住民が「沿ドニエストル共和国」を建国して分離独立を掲げ、ロシアがこれをこっそり支援している。トランスニストリアには現在もロシア軍が駐留しており、色々な理由をつけては未だに撤退せず居座っている。
そんなわけで、モルドバもロシアと仲が悪い。

モルドバは、以前の価格の2倍に相当する1,000立方メートル当たり160$で天然ガスの購入を迫られた。国際市場価格よりは安いとはいえ、ウクライナと違ってモルドバは吹けば飛ぶような小国なので、こんな値上げに耐えられるわけがない。
また、モルドバでガス事業を独占しているモルドバガスは、ロシアの国営ガス会社ガスプロムに50%、敵対している沿ドニエストル共和国政府に13%の株式を保有されていることから、圧倒的に不利な立場での交渉を余儀なくされた。

逆ギレしたモルドバ政府は「それなら我が国を通過するパイプラインの通行料を値上げする」と対抗したが、そのせいでモルドバ経由でロシアからガス供給を受けているルーマニアやブルガリアがとばっちりを食らった。
ルーマニアやブルガリアはモルドバよりはマシとはいえ、EU加盟を果たしたハンガリーやチェコ、スロベニアなどの近隣諸国と比べると、まだまだ国内産業が脆弱な国だ。それにも関わらず、1,000立方メートル当たり270$と非常に割高な契約を結ぶ羽目となってしまった。


またガスとは関係無いが、モルドバとグルジアはロシアのWTO加盟に反対の声明を出したため、その報復措置としてロシアへのワインの輸出差し止めを食らった。ロシア政府は「モルドバ産・グルジア産のワインから、人体に有害な重金属が検出されたため」としているが、西欧諸国は今までどおり輸入しているわけで、嫌がらせ以外の何物でもない。
モルドバやグルジアにとってワインの輸出は重要な外貨獲得手段のひとつで、一番のお得意さんはロシアだった。当然、両国はロシアに猛抗議するが全く相手にされず、悲鳴をあげる羽目になった。在庫がダブついたところを狙い済まして両国のワインを安く買い叩いた中国は、「これで我が国は当分の間ワインには困らない」と高笑いしているという。

ガスにしろワインにしろ、自国の置かれている立場を忘れてロシアに楯突くと、こういう酷い目に遭うことになる。というか、モルドバもグルジアも余計なことを言って無駄にロシアを怒らせるからだ。


◆バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の場合
バルト三国はベラルーシやウクライナと違い、スラブ人の国でもなければ東方正教の国でもない。エストニア人はフィン=ウゴール語族でフィンランド人とは兄弟のようなもの。ラトビア人はバルト語族でプロテスタント、リトアニア人はバルト語族でカソリックと、ロシア人とは全然違う。

バルト三国位置図バルト三国は帝政ロシアに支配されていた時代が長いが、第一次世界大戦後には短いながらも独立していた時期もあり、リトアニアに至っては中世にはポーランドと連合王国を組んで広大な領土を有していた時期もある。
それがモロトフ=リッベントロプ協定(第二次世界大戦直前にナチス・ドイツとソ連が結んだ密約)によって無理やりソ連に併合されたうえに、ドイツへの通牒の疑いをかけられて大量の市民がシベリアへ流されているのだから、バルト三国のロシア嫌いは半端ではない。中でも、国内にロシア系住民が殆どいないリトアニアは過激極まりなく、事あるごとにロシアに喧嘩を売っている。

バルト三国はCISではなくNATOに加盟しており、軍事的に見ればロシアにとっては敵国同然の存在。歴史的経緯のみならず、現在も国境線の確定作業などでロシアはバルト三国と対立している。

バルト三国でもロシア産天然ガスの値上げによってインフレが進み、2006年に予定されていたユーロ導入が延期となってしまった。ただし、バルト諸国のインフレは原油高や好景気による所得水準の上昇による部分も大きく、またEU加盟国であり経済成長は相変わらず順調なのでグルジアやモルドバのような悲惨なことにはなっていない。


前回、「ロシアはそんなに悪か?」と述べたが、こうして見ると確かにロシアのやり方はエゲツない。まあ、エグいとはおもうが、それでもやはり悪とは思わない。

欧米諸国はロシアをG7に加えるなど様々な優遇を行い「ロシアの欧州化」を図ったが、欧州の一員として埋没することを嫌ったプーチン政権は「ユーラシア主義」を掲げ、近隣諸国を従えて引き続き大国として君臨することを企んでいる。

《その4につづく》

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