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2006.07.10 (Mon)

黒猫がウクライナのガス問題について語る① - プーチンの野望

昨年末から今年の初めにかけてウクライナとロシアの間で激しい火花を散らした天然ガス問題が再びキナくさい状況になってきた。

トルクメニスタン、ロシアに天然ガス価格引き上げ要求

[アシガバード(トルクメニスタン)]トルクメニスタンは21日、ロシアの天然ガス独占会社ガスプロムに対し、天然ガス価格の大幅引き上げを要求すると共に、受け入れられない場合はロシアへの天然ガス供給を停止すると警告した。
トルクメニスタン外務省はガスプロムに対し、天然ガス1,000立方メートル当たり、現在の65ドルを大幅に上回る100ドルを支払うよう要求。今後1カ月半の間に要求が通らなければ天然ガスの供給を停止する考えを示した。
中央アジア産の天然ガスをガスプロム経由で購入しているウクライナにとって、トルクメニスタンがガスプロムに課す天然ガス価格は極めて重要な意味を持っている。

2006年6月21日 ロイター

トルクメニスタンの天然ガスがウクライナにどう関係があるのか、旧ソ連諸国に興味の無い人にはさっぱり分からない話だろう。というわけで、2005-06年の年末年始を騒がせたロシア-ウクライナのガス問題について色々と述べてみようと思う。
が、その前に、この問題について語るにはロシアのプーチン政権の国家戦略を知っておく必要がある。しばしテーマから逸れるがご勘弁を。


◆プーチンのロシア再生戦略
天然ガスの平均市場価格は1,000立方メートルあたり230ドル程度だが、ロシアは周辺の旧ソ連諸国に対して、ソ連時代からの政治的・経済的関係を考慮して50~120ドル程度でガスを供給してきた。ソ連時代は「ロシアで採れた鉄鉱石をウクライナの石炭を使って製鉄する」なんてことが当たり前に行われていたので、それまでのつながりを無視して価格を決定してしまうとロシアも周辺国も困ってしまうのだ。
ソ連崩壊後もバルト三国を除く旧ソ連諸国はCIS(独立国家共同体)を作り、可能な限りそれまでの関係を維持しようと努めてきた。

ところが、ウクライナは2004年のオレンジ革命によって親EUを掲げるビクトル・ユーシェンコが大統領となり、露骨に反ロシア色を打ち出してきた。ウクライナは旧ソ連15ヶ国の中ではロシアに次ぐ大国であり、EU圏とロシアの中間に位置する。いわばロシアにとって「前庭」のようなものである。この前庭がEUに取り込まれてしまっては軍事的にも経済的にもロシアにとって大きな脅威となることは容易に想像がつく。


現ロシア大統領ウラジーミル・プーチンにとって、石油や天然ガスはただの商品ではなく、ソ連崩壊後の10年間ですっかり弱体化したロシアが再び強国へ返り咲くための大きな武器だ。
プーチンは大統領になるはるか前、サンクト・ペテルブルクの副市長時代に「ロシア経済発展のための鉱物資源戦略」という論文を書いている。プーチンはこの論文の中で「石油やガスなどの天然資源産業を再国有化し、それを諸外国に売りつけ、その売却益でロシアの再生を図る」という戦略を提唱している。

天然資源の枯渇が危惧されているにも関わらず石油や天然ガスに対する需要は高まる一方で、どこの国も血眼になってその権益を争っている。特に天然ガスは石油に比べて二酸化炭素の排出を抑制できるので、地球温暖化防止に取り組む西欧諸国にとって非常に重宝がられている。
ロシアから見れば、これを利用しない手は無い。ロシアは世界の天然ガス埋蔵量の約30%を持つ世界最大の天然ガス産出国なのだ。


しかし、大統領になったプーチンが見たものは、かつて国営だった天然資源関連企業が民営化された際に経営権を取得し、そこから生まれる利益を武器にエリツィン政権を牛耳る新興財閥(オリガルヒ)の連中だった。

プーチンはKGB出身という経歴とその風貌のせいもあって「独裁的で冷酷な策謀家」と見られることが多い。確かにプーチンのやり方は独裁的だし、KGB仕込みのえげつない手法を取ることも多い。しかし、にゃおんちゃんに言わせればあんな愛国者はいない。そもそも、大学卒業後にKGBに就職した理由も、「それが愛国的な仕事だと思ったから」なのだ。
オリガルヒによって札束漬けにされたエリツィンとは異なり、プーチンは自らが描いた国家再生のビジョンを実現するため、奴らと戦うことを選んだ。

プーチンはオリガルヒの連中に次々と脱税の容疑をかけると(実際、奴らはものすごい脱税をしていた)、凄まじい額の追徴加算を賦課して経営破たんに追い込み、次々と再国有化していった。
現在のロシアの天然資源産業は、ガスプロム、シブネフチ、ロスネフチなど9つの国営企業グループに再編され、それらの経営トップにはすべてプーチンの側近が就いている。
これらの企業群は近年の原油高という追い風もあってロシアのGDPの40%相当を稼ぎ出し、この15年近く迷走していたロシア経済はすっかり立ち直った。その恩恵がまだ地方都市まで波及していないことや貧富の差が縮まらないという問題はあるにせよ、プーチンは倒産寸前だったロシアを建て直し、公務員の給料や老人への年金は滞りなく支払われるようになった。


かつてのソ連は軍事力で覇権を取ったが、21世紀のロシアは天然資源で覇権を得る。「戦車や核兵器ではなく、石油とガスだ」というのがプーチンのロシア再生の戦略だ。

どこの国でも生産できる安物の工業製品を輸出している中国とは違い、ロシアは石油や天然ガスといったどこの国も喉から手が出るほど欲しいものを商品にしている。中国がお得意さまであるアメリカに対してあからさまに反抗的な態度を取れないのに対し、ロシアがことあるごとにアメリカやEU諸国に逆らっても平気な強さの秘密はここにある。

《その2につづく》

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テーマ : 国際問題 - ジャンル : 政治・経済

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