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2008.03.12 (Wed)

【世界の香ばしき国々】第46回:沿ドニエストル・モルドバ共和国(Part7)

◆コソボ問題が決める非承認国家の未来

お互いに言い分があり、お互いにスネに傷を持つ身分であるモルドバと沿ドニエストル。筆者に言わせれば、「それぞれルーマニアとウクライナに吸収されて消滅しちまえ!」なのだが、そういう話は全く無い。
ちなみに、この問題に関する各国の一般市民の意見を聞くと、次のような感じ。

ルーマニア:田舎者が住む土地だが我が国の領土だ!独立なんて生意気だ!

モルドバ:ルーマニアとの統合にも興味あるけど、独立していたい。それよりEUに入りたいな。

沿ドニエストル:独立死守!

ウクライナ:興味無いね。それより、ロシアとアメリカ、どっちと仲良くしたほうが得だと思う?

ロシア:トランスニストリア?それ、旨いのか?ウクライナもモルドバもロシアみたいなもんだろ。

ベクトルの向きが見事にバラバラで、モロトフ=リッベントロップ協定以前への原状回復を主張する筆者の意見など入り込む余地が無い。いや、にゃおんちゃんの意見なんて無視してもいいんだけどさ。
これでモルドバの経済状況が良ければまだ再統合の芽もあるのだが、実際は「下手すれば沿ドニエストルよりも貧乏」というレベルなので話にならない。モルドバにはロクな産業が無いので国民はロシアやルーマニアへの出稼ぎを強いられ、少なくともGDPの20%はそれら出稼ぎ労働者からの送金によって占められている。


とはいえ、いつまでもこのような状況を放置しておくわけにもいかない。
当初はこの問題にまるで興味を示さなかったEUとOSCEだが、東欧諸国を対象とする第5次拡大(EUの東方拡大)を目前に控えた2003年頃から態度が変わり始めた。モルドバと同じNIS諸国であるバルト三国が2004年に加盟することが決定し、ルーマニアが予定どおり2007年にEU加盟を果たせば、ルーマニアと関係の深いモルドバもいずれ加盟候補国となるかもしれないからだ。
また、西側諸国はソ連崩壊後に落ちぶれたロシアを「欧州の一員」として扱い懐柔しようとしたが、プーチン政権は混乱した内政を建て直すと「大国ロシアの復活」を目指して対決姿勢を取ったことも、EUが方針を改める一因となった。

EUはキシナウに事務所を開設して欧州近隣諸国政策に基づくモルドバへの支援を開始、さらにトランスニストリア問題を担当する特別代表ポストを設けた。一方、OSCEは『沿ドニエストル紛争解決交渉「5+2」』と呼ばれる関係国による協議体制を整備した。参加国は当事国(モルドバ、沿ドニエストル)と関係国・機関(ウクライナ、ロシア、OSCE)の5者、さらにオブザーバーとしてアメリカとEUが参加している。だから、「5+2」。
しかし、こんな枠組みでいくら話を意味が無い。沿ドニエストル政府は断固として独立を主張し、協議の場にすらまともに出てこないし、沿ドニエストル側が何を言おうがロシアとさえ話がつけばすぐにでも解決する問題だからだ。それを分かっているヴォローニンは「5+2」と「ロシアと二国間交渉」を併用する戦術を取っているが、そもそもロシアにもこの問題を解決する気が無いので話は全く進まない。
アブハジアや南オセチアも状況は同様で、OSCEはこれらを「凍結された紛争(frozen coflicts)」と呼んでいる。


しかし、ここに来て新たな動きが見えてきた。きっかけはコソボ紛争だ。コソボ問題の取り扱いが他の未承認国家に対しても応用される可能性があるのだ。

セルビア共和国南部にある「コソボ自治州」はアルバニア系住民が多い土地。セルビア人はスラヴ系で正教徒だが、アルバニア人はイスラム教徒でスラヴ系ともギリシャ系とも異なる独立した民族。1991年、旧ユーゴ諸国が次々と独立を宣言するとコソボも分離独立を宣言したが、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナなどと違い、コソボの独立運動は非暴力主義の穏やかなものだった。しかし、それ対してセルビア当局は自治権を剥奪したり、ボスニア・ヘルツェゴビナを追われたセルビア人難民をコソボへ送り込んで報復したため強硬派のゲリラ(コソボ解放軍)が台頭。ついには1998年から武力紛争が始まった。
セルビア軍はコソボで民族浄化を行ったため大量の難民が周辺諸国になだれ込み、これを見た欧米諸国はNATO軍による空爆を行って2000年にセルビア軍を撤退に追い込んだ。

ひとまず戦火は止んだものの、コソボはセルビアの統治が及ばない事実上の独立国だが、同胞であるアルバニア以外はどこも承認していない非承認国家となった。コソボの独立を認めればそれが世界中の分離独立運動に波及するし、かといってあれだけ血を流した後でいまさらセルビアの一部に戻ることもできない。そのため、コソボの国際的地位はずっと宙ぶらりんの状態に置かれてきた。
セルビア軍撤退後、国連や欧米の主要国(米露英独仏伊など)が両者を仲介する形で話し合いを進めてきたが、当事者のみならず仲介者同士でも意見の対立が激しく、2007年には仲介プロセス自体が破綻してしまった。
コソボ当局はこれを受けて2008年2月に改めて独立宣言を行い、ロシアを除く主要国はコソボの独立を承認する方向で動いている。しかし、コソボの独立を安易に承認しようものなら、セルビア側の暴発を招いて再びドンパチが起こりかねないが、状況は実効支配を確立し欧米からの支持も取り付けているコソボのほうが優勢だ。

ロシアは歴史的にセルビアと友好関係にあり、この問題についてもセルビアを支持している。コソボが独立すればチェチェンのゲリラが再び騒ぎ出し、ロシアも少なからずダメージを受ける。しかし、したたかなロシアは転んでもタダでは起きない。プーチンは「コソボの独立が認められるなら、アブハジアや南オセチアだって同じだろ?」と発言して独立容認派を牽制した。
アメリカなどは「コソボは特異なケースであり、他地域における独立問題の前例とはならない」と火消しに躍起だが、アブハジアや南オセチアと何が違うというのか。アブハジアや南オセチアの独立が承認されれば、沿ドニエストルとて同じように取り扱われるだろう。そして、これらの国は独立すればロシアと自由連合を組み、自ら望んでロシアの属国となるだろう。
コソボ問題の結果如何では、最悪の場合グルジアやモルドバで再び紛争が始まる危険性がある。

トランスニストリアの子どもとぬこ


《沿ドニエストル編 終了》

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19:32  |  沿ドニエストル共和国  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

にゃおん様。
2chから飛んで来てさらっと通過しようと思たら
何ですか!このクヲリティの高さは!!
すっかり読み入ってしまいまして、読破しちゃいました。

しかも、香ばしい国に限らず各国の近代史について
興味がフツフツと湧いて来ています。
久々に知的欲求が昂っております。

これからも執筆頑張ってください。
いいもの読ませていただいてありがとうございました。
2chからの通行人 |  2008年03月14日(金) 15:03 |  URL |  【コメント編集】

●ありがとうございます

通行人様、コメントありがとうございます。

アクセス数が普段の10倍になっていて何事かと思ったら、2chからのお客さんが大量に来られたようで。
皆さんのお目当てのジンバブエ編は一番最初に書いたものなので、非常にさらっとした内容となっています。いずれ、ローデシア時代も含めたちゃんとした内容のものに書き直そうと思っています。
期待しないで待っていてください。w

これからもよろしくお願いします。
にゃおんちゃん |  2008年03月17日(月) 01:18 |  URL |  【コメント編集】

●ふ~む

なるほどです。yahooからきました!コメントで失礼しました。
SY |  2008年11月07日(金) 19:34 |  URL |  【コメント編集】

久方ぶりに来て記事を読ませて貰っております。
11年の大統領選でシェフチェクが大統領になっておりました。
7743 |  2015年01月06日(火) 18:57 |  URL |  【コメント編集】

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