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2008.02.10 (Sun)

【世界の香ばしき国々】第40回:沿ドニエストル・モルドバ共和国(Part1)

突然ですが、「香ばしき国々」再開。約10ヶ月ぶりですね。
ネタに困った筆者は「非承認国家」を取り上げるという裏技に出ました。


◆非承認国家とは何ぞや?

さて、久しぶりとなる当コーナー。
今回登場する国は『沿ドニエストル・モルドバ共和国』

「そんな国は知らねぇ」だって?それもそのはず、この国は国連未加盟どころか、どこの国からも承認されていない、いわゆる『非承認国家』なのだ。


非承認国家とは国際社会から承認されていない「自称独立国」を指し、それらは主にエスノ・ナショナリズムを指向する政治組織体が特定地域を実効支配、さらに分離独立を宣言して新国家を設立している場合が多い。
ただし、これらの自称独立国は立法・司法・行政等、国家として最低限必要の機能を整備しており、山賊もどきの武装ゲリラがジャングルや山岳地帯を実効支配しているのとは訳が違う。

日本政府は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)や台湾(中華民国)を国家として承認していないので、日本にとって両国は『非承認国家』なのだが、北朝鮮や台湾を承認している国は世界に多数あるし、北朝鮮はあんなダメダメでも一応国連加盟国、台湾だって現在は脱退しているが元国連加盟国。なので、これらの国を指して『非承認国家』と言う人はあまりいない。


一般的に非承認国家と言われている国は、モルドバからの独立を主張しているこの沿ドニエストル共和国、グルジアからの独立を主張しているアブハジア共和国と南オセチア共和国、アゼルバイジャンからの独立を主張しているナゴルノ・カラバフ共和国、それから西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)や北キプロス(北キプロス・トルコ共和国)、ソマリランド共和国などを指す。

これらの国に共通するのは傀儡政権が多いこと。基本的に「敵対する国の民族紛争に付け込んで相手国に対する影響力を確保しよう」という魂胆を持つ周辺国からの支援によって成り立っていることが多い。
アブハジアと南オセチアは、ロシアが「生意気なグルジアを黙らせる」ためにグルジア領内の民族紛争を利用して独立させた国だし、ナゴルノ・カラバフや北キプロスの場合は「隣国でクソ野郎どもに弾圧されている同胞を救う」ためにアルメニアやトルコが作った国。

こういう国が生まれる地域の殆どは『民族マトリョーシカ』と呼ばれる複雑な民族構成を抱えており、それが独立紛争の原因となっている。マトリョーシカとは人形の中に小さな人形が入っていて、その中にさらに小さな人形が入っているというアレ。
セルビア人国家たるセルビア共和国領内にありながら、アルバニア系住民が多数派を占めるセルビア共和国コソボ自治州などその最たる例だろう。

世界にはこういう地域は多いのだが、何百年も前からの遺恨を抱えているケースが多く、民族主義が台頭してその怨嗟が一気に噴き出すと、ユーゴスラビア内戦のような凄惨な殺し合いになってしまう。また、アフリカやアラブ諸国のように部族・氏族社会の解体が進んでいない国では、そもそも国民が国家に対する帰属意識を持っていない。
そう考えると、あれだけ雑多な民族を抱えながらも、共通の価値観の下に団結できるアメリカは凄い国だと言える。


分離独立を主張する側・それを突きつけられた側、言い分はそれぞれある。しかし、ソ連やユーゴスラビアの崩壊によって国際社会に生まれた原則は、

かつての連邦構成共和国のみが独立国となる権利を持ち、その中にある州や自治共和国レベルの地域は独立できない

というものだった。
その理由は、現在の欧州安全保障協力機構(OSCE)の前身である全欧安全保障協力会議が、1975年の「ヘルシンキ宣言」で『国境線不変更原則』を謳っているからであり、各地域の独立をいちいち認めていたら世界中で分離独立運動が多発して内戦のバーゲンセールが起こるからだ。

この原則の前には住民投票など何の意味も持たず、国際社会は必要とあらば制裁も辞さない。ソ連崩壊時に独立を模索したタタールスタン自治共和国(ロシア連邦内)やクリミア自治共和国(ウクライナ共和国内)は、この原則に反することから国際社会からの支援を得られず、高度な自治権を獲得することで妥協したし、ボスニア・ヘルツェゴビナもイスラム教徒とセルビア人が同居したまま独立させざるを得なかった。
非承認国家は、この原則に従わない異端児であるが故に『非承認』となっている訳だ。

少数民族の言い分をいちいち聞いていたら、バルカン半島はプロイセンが統一する前のドイツのように小国が乱立する不安定な地域になってしまうし、下手すればソマリアのように軍閥や氏族が割拠して誰も統制できないカオス地帯になりかねないのだから仕方ない。


モルドバ位置図
ルーマニアとウクライナの間にある「Mol.」と書いてある青い部分がモルドバ




◆欧州のブラックホール

今回登場する『沿ドニエストル・モルドバ共和国』は、ウクライナやモルドバに対する牽制として、モルドバ領内の民族紛争に付け込んだロシアが支援する傀儡国家だ。

沿ドニエストル・モルドバ共和国の正式名称は、英語標記の場合「Pridnestrovian Moldavian Republic(PMR)」。
国家として承認されていないことから、地域名である「Приднестровье(Pridnestrovie:ロシア語)」、「Transnistria(ルーマニア語)」と標記されることも多い。いずれも「(ルーマニアやモルドバから見て)ドニエストル川の向こう岸(東岸)」という意味。

モルドバは、プルト川とドニエストル川に挟まれた地域(ベッサラビア地方)と、ドニエストル川東岸(トランスニストリア地方)のふたつの地域から成る国なのだが、このトランスニストリア地方の連中がソ連崩壊直前の1990年に

俺達、モルドバの一部になるなんて嫌だ!ソ連の一部のままでいたい!

と言い出して生まれたのがこの国。
ミミズのようなひょろ長い形をしていて、南北約200km、東西は広いところで20㎞、狭いところだとわずか4㎞しかない。

沿ドニエストル・モルドバ共和国位置図    沿ドニエストル・モルドバ共和国旗   


      沿ドニエストル・モルドバ共和国章

左:黄色い部分が沿ドニエストル共和国領
右上:沿ドニエストル共和国旗(現在は鎌とハンマーのマークは無し)
右下:沿ドニエストル共和国章(こちらには鎌とハンマーのマークが残っている)


国連加盟国のくせに悪さばかりしやがる『圧政国家』として「撲殺天使コンディちゃん」ことアメリカ国務長官コンドリーザ・ライスから名指しで非難されたミャンマー、ベラルーシ、ジンバブエ、北朝鮮、イラン、シリア、キューバあたりと比較すれば人畜無害に等しい小国なのだが、得体の知れない連中が欧州の片隅に作った国であるうえに、密輸や人身売買の巣窟という噂が広まったせいで、今では『欧州のブラックホール』と評されるようになってしまった。

さらに、国旗や国章にソ連の象徴である『鎌とハンマー』を描いてみたり、パスポートやコインに『CCCP』と書いて「未だにソ連の一員である」ことをアピールしたりするので、変な国マニアからはベラルーシと共に『ソビエト・テーマパーク』として熱い注目を浴びている。


《Part2へつづく》

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20:44  |  沿ドニエストル共和国  |  TB(0)  |  CM(4)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●「香ばしき国々」のアイデア

お久し振りです、総統閣下。
約1年振りに「世界の香ばしき国々」の新記事を見せて頂きました。

非承認国家では、西サハラについての記事を楽しみにしております。
あ、僕も「香ばしき国々」のアイデアを思い付きましたぞ。
番外編として、一風変わった愛すべき非承認国家であるシーランド公国とセボルガ公国、ハット・リバー王国を紹介するのは如何でしょうか?

これからも「香ばしき国々」の更新を楽しみにしてます。ハイル・マイン・フューラー!
羊 |  2008年02月11日(月) 10:28 |  URL |  【コメント編集】

シーランド公国にハット・リバー王国ですか!
あれは「愛すべきバカ」系の国ですね。ネタとしては面白いですが、香ばしさが足りないんですよねぇ・・・。というか、存在自体が最初から冗談みたいな国なので。

反則技としては「消滅した国」を取り上げるという方法もありますが・・・。
多分、チベットを取り上げて中共をボロクソに罵る内容になってしまいそうで。
にゃおんちゃん |  2008年02月11日(月) 18:03 |  URL |  【コメント編集】

●こんにちは

こんにちは、総統閣下。
閣下も御存知かとは思いますが、昨日、セルビアのコソボ自治州が、「コソボ共和国」として一方的に独立を宣言しました。
このコソボ共和国は、香ばしい事に欧州最貧国としてスタートするそうな。
あ、独立宣言直後から早速香ばしい事になってますぞ。↓
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2352386/2654560
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080218-00000012-jij-int
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080218/erp0802180937006-n1.htm

旧ユーゴスラビア(現在のセルビアとモンテネグロ。無論コソボも含む)についての記事を楽しみにしております。後、何と崩壊国家からスタートした香ばしい国であるボスニア・ヘルツェゴビナは如何でしょうか?
羊 |  2008年02月18日(月) 10:11 |  URL |  【コメント編集】

●うーむ・・・

旧ユーゴスラビア・・・いつかは取り上げようと思っているのですが、あの国はハイチとかコロンビアのように「自業自得だよ、お馬鹿さん」と笑い飛ばす気になれないのです。歴史や大国のエゴに翻弄された悲劇の国という印象が強くて・・・。
紛争の際に行われた鬼畜のような所業は断じて許すわけにはいかないのですが、セルビア人だけを一方的に悪者にすりゃ済むって話でもないと思います。

いつかサラエボに行ってみたいと思ってるんですよ、マジで。
にゃおんちゃん |  2008年02月18日(月) 19:41 |  URL |  【コメント編集】

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