2017年10月 / 09月≪ 12345678910111213141516171819202122232425262728293031≫11月

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--:--  |  スポンサー広告  |  EDIT  |  Top↑

2007.09.13 (Thu)

2007モルドバ・ウクライナ旅行記(その10)

◆沿ドニエストルの戦い(前編)

モルドバ市内を発ったバスは南へと進路を取り、キシナウ国際空港の前を通ってティラスポリへと向かう。空港の前を通った際、「偽ソ連なんて怖い国に行くのは止めて、ここから飛行機に乗ってこのまま帰っちゃおうかな?」という考えが一瞬頭をかすめたのは内緒。
15人乗り程度のマルシュルートカは満員。外国人はもちろんにゃおんちゃんだけだが、誰も話しかけて来ない。時々乗客と目が合うが、「あーあ、この何も知らない哀れな外国人は、国境で金を巻き上げられて酷い目に遭うんだろうなぁ。可哀想に・・・」と思われているような気がして、気分が激しく萎える。さっきまでの前向きな精神はどこへ行ったのやら。

そんなにゃおんちゃんの葛藤などお構い無しにマルシュルートカはモルドバの田舎道を爆走する。窓の外にはトウモロコシ畑やら牧草畑が広がっている。
キシナウを発ってから40~50分ほど経過しただろうか。いよいよ国境にやって来た。道路にはコンクリート製のバリケードが置かれており、物々しい雰囲気を醸し出している。やがてバスが止まると、軍服姿の男が乗り込んできた。地元民は車内でパスポートを検査されるのみだが、にゃおんちゃんは車から降ろされる。ひぃぃぃ、いよいよ極悪国境警備隊との戦闘か。


車を降りると、そこには貨車を改造した掘っ立て小屋があり、数名の軍人が日陰でくつろいでいる。そしてひとりの軍人が「あんた、ロシア語分かるか~?」と陽気に話しかけてくる。えー?何でこんなに和やか?と一瞬戸惑うが、よく見ると彼らの着ている軍服はモルドバ軍のもの。ああ、ここはモルドバ側の出国手続きをする場所か。
行き先、渡航目的、日帰りか否かを聞かれ、あとはパスポートを見せて終了。モルドバ政府はここを正式な国境と認めていないので出国スタンプは押さず、にゃおんちゃんの名前やら国籍やらパスポート番号やらをノートに書き写した後、返してくれた。

バスに乗り込もうとすると、運転手が前方を指差して「あそこに歩いていけ」と言う。彼が指差した先にはいかにも国境といった感じのゲートを持つコンクリート製の建物がそびえ立っており、そのてっぺんには例の「鎌とハンマーのマーク」がでーんと鎮座している。うぎゃー!怖いよママー!


焦げそうなほど強い日差しの中、その建物へ向かって歩くにゃおんちゃん。気分はラスボスが待ち構える塔へ乗り込む勇者(ただしLv3のヘッポコ)である。距離にすれば50m程度なのだが、恐ろしく遠く感じた。
やがてゲートへたどり着き建物の中へ入ると、そこには窓口があった。中には男性の係官3名がいるのが見える。顔を引きつらせながら「こんにちはー」とあいさつすると、3人の中で一番偉そうな奥に立っていた中年の係官が「(英語で)お前、英語分かるか?」と尋ねてきた。おぉ、こいつはツイてる!と思いながら「Yes」と答えるが、次の瞬間「いや、待てよ?ツイてないかも・・・?」という考えが頭をよぎり、混乱する。

そんなにゃおんちゃんの混乱をよそに、その係官は流暢な英語で「パスポート出してー。それから5$・・・いや、6$払ってもらうよー」と愛想良く言う。ちょっと待て、そこでどうして言い直すんだ?事前に調べた情報で入国手数料?として5$を払わなくてはいけないことは知っていたが・・・いつから6$になった?
しかし、ここで余計なツッコミを入れて係官の機嫌を損ねようものなら、6$の手数料が50$になりかねないので、にっこり笑って5$札2枚を差し出す。係官は「1$札を持ってないか?」と言うが、1$札は持っていないので首を横に振る。すると、その係官は「これでいいか?」と20MDL札を差し出した。あの・・・お釣りは4$ですよね?20MDLって2$にもならないのですが・・・。
しかし、ここで文句を言っては「お前は入国させん。帰れ!」と言われかねないので、黙って20MDLを受け取る。これなんてプチボッタ?あぁ、何てセコい!

金を払うと、窓口に座っている若い係官が不慣れな手つきでパスポートの情報をPCに入力し、それが終わるとビザと入国スタンプの代わりなのだろうか?藁半紙のような質の悪い用紙に日付やら名前を記入し、それに例の「鎌とハンマーが描かれた国章」のスタンプを押した紙をくれた。
これで手続き終了。心配したバスの運転手が様子を見に来たが、手続きは至ってスムーズだった。微妙にボラれたことを除いて・・・。俺の3$、返せ・・・。

陽炎の中で不気味に揺らめく検問所は是非写真に撮りたかったが、国境で写真など撮ろうものならマジで身柄を拘束されかねんので断念。皆さんも止めてくださいよ、見つかったらタダじゃ済みませんから。



◆はるばる来たぜ、ティラスポリ

あれほど怖れていた国境での手続きは拍子抜けするほどあっさりしたもので、予想外の出来事に困惑するにゃおんちゃんを乗せ、マルシュルートカは再び走り出した。
国境を過ぎると、ベンデール(Bender)はすぐそこ。沿ドニエストル領に入った途端に、看板の表記が全部ロシア語(キリル文字)になった。モルドバは皆ロシア語を喋ってるけど、看板の殆どはモルドバ語(ラテン文字)で書いてあるからねぇ。
ちなみに、ベンデールという名前はロシア語で、モルドバ語ではティギナ(Tighina)という。でも、にゃおんちゃんはティギナという表記を一度も見なかった。

沿ドニエストル共和国はドニエストル川東岸を領土とする国なのだが、このベンデールと周辺のいくつかの村だけは西岸に位置するにも関わらず沿ドニエストル側が実効支配している。つまり、ここは沿ドニエストル側が西岸に確保した橋頭堡となっている都市。もし再びドンパチが始まったら、ここが真っ先に戦場と化すに違いない。ま、ヘタレのモルドバ軍がここに駐留するロシア軍に蹴散らされて終わると思うが。
マルシュルートカはベンデールのバスターミナルで乗客を一人降ろすと、すぐに出発した。この街の中心部はティラスポリへ行く道路から外れたところにあるらしく、残念ながらベンデールの街は見えず。

やがてマルシュルートカはドニエストル川に架かる橋を渡る。橋のたもとには警備兵が立っており、さらに橋の入口には国境と同様にコンクリート製のバリケードが置かれている。この川がトランスニストリアの防衛線だからなぁ・・・。有事の際にはすぐに爆破できるよう、橋の下に爆弾が仕掛けてあったりして。
あまりに物々しい雰囲気にビビって写真も撮れず。


ドニエストル川を渡り田舎道を走ること数十分、左手に立派なサッカースタジアムが見えてきた。このスタジアムは『FCシェリフ』というチームのホーム・スタジアムで、ティラスポリの街の入口にある。おぉ、ついに来たぞ、ティラスポリ!
やがて市街地に入ると、乗客が一斉に降りてしまい、にゃおんちゃんだけが残った。運転手が「お前、どこまで行くんだ?」と聞いてくるので、「バクザール(ロシア語で"駅"という意味)」と答える。ところが、その運転手は駅まで行かず、途中の銀行らしき建物の前で車を止めると「駅はすぐそこだから、あとは歩いて行け」と俺を放り出しやがった。

こっちは地図も持っていないというのに訳の分からん場所で放り出されて困り果てるが、事前にインターネットで少し調べてあったので、大まかには街のレイアウトが頭の中に入っている。まずは現在位置の把握を・・・ということで道路の表示を調べると「レーニン通り」と書いてある。
おぉ、すげー。バルト三国じゃ、今となっては絶対にお目にかかれない名前だ!でも、ソ連時代はどんな田舎にも「レーニン通り」と「レーニン広場」はあったそうだから、ロシアやベラルーシには、今でもたくさんあるんだろうなぁ。

レーニン通り
「レーニン通り」と書いてある。ちなみに、この道は駅と中心街を結ぶ通りです。



◆衝撃のティラスポリ

ティラスポリを見るという目的はあれど、「○○博物館に行く」とか「○○公園に行く」といった具体的な目標は無いにゃおんちゃん。さてと、どこへ行こうか・・・。
周りを見渡すと、木々が生い茂っていて「緑が豊かなほのぼの地方都市」といった感じで、キシナウみたいなオンボロ高層アパートも無いし、ミンスクのような威圧感も無い。ただ、歩いてる人が少ないのでちょっと寂しい印象を受ける。この街の人口は15~16万人程度で、キシナウに比べればずっと田舎なのだから仕方ないけど。

来る前は、スターリン様式の建物が立ち並ぶ無骨な街で、そこらじゅうにソ連を賛美するプロパガンダ看板が立ち並び、街の真ん中には巨大なレーニン像が鎮座してるんだろうなぁ・・・と思っていたが、あまりの普通ぶりに拍子抜けする。
ミンスクの街は覇気が全く感じられず、道行く人もまるでゾンビのように精気を感じさせない人ばかりで、漂う空気からして異様だった。いや、マジで。駅から一歩出た瞬間、「あー、この国は普通じゃないな」って分かったくらいだから。
それに比べると、若干の「寂れ感」はあるものの、このティラスポリのほのぼのした雰囲気は何だ。

街路樹がきれいなレーニン通り
これがレーニン通りの様子。街路樹に隠れているけど、両側にはちゃんと建物が建っている。


とりあえず、地元ではツェントラと呼ばれている街の中心部へ行くが、ロクに商店街すりゃありゃしない。何に使われているのかよく分からない中層のオフィス・ビルと高層アパートと公園ばかりだ。この街は本当に緑が多いので、一国の首都というより、大都市近郊のベッドタウンみたいな感じがする。

街をブラブラしていると、やがてあることに気づく。「建物がボロくない」のだ。
どのビルもアパートもきちんと手入れされているし、道路の状態も悪くない。歩道にブロックを敷く工事をしていたり、左官屋さんがコンクリートフェンスを補修をしていたりと、この街はちゃんと手入れされていることが分かった。ボロボロのキシナウとは全然違う。さらに、公園の芝生や街路樹は丁寧に刈り込まれており、草ぼうぼうのキシナウと大違い。花壇には綺麗に花が植えられており、ゴミ箱と化していたキシナウから見たら別世界。
「国民を脅しつけてやらせているのか?」と思ったりもしたが、緑豊かなティラスポリの街からはそんな圧政の臭いや人心の荒廃は感じられない。キエフのような経済的発展に基づく華やかさはどこにもなく・・・いや、それどころか金の匂いが全くしない街だが、だからといって貧乏臭いわけではない。


えー?てっきりベラルーシみたいな『ソビエト・テーマパーク』を想像していたのにー。つーか、非承認国家だからまともに貿易もできなくて、モルドバ以上に貧乏な国だと思っていたのにー。
ここ、ほんとに偽ソ連ですかー?レーニン像はどこですかー?揺らめく赤旗はどこですかー?「米帝の傀儡モルドバを倒せ」とか書いてある看板はどこですかー?

実はここ、ポーランドとかリトアニアの田舎町だったりしません?匂いがね、一緒なんですよ。
台湾や南朝鮮よりも穏やかだぞ、ここ。分断国家の両国と位置づけが違うのは分かってるけど、戦時下の国特有のプロパガンダの匂いが全然しない。どうなってるの?

ここがツェントラ
ここがツェントラ。店は少ないけど、きちんと手入れされていてとても綺麗。



【旅の情報:ティラスポール編その1】
・キシナウからベンデール/ティラスポリ行きのバスはひっきりなしに走っている。不覚にもチケットを紛失したので運賃は分からない。20MDL程度だったと思う。
・にゃおんちゃんは問題なく入国できたが、国境でカツアゲされた人は大勢いるし、中には追い返された人もいる。こればっかりは「運」としか言いようが無い。
・5$払うのは賄賂ではなく正規の手数料の模様。にゃおんちゃんは6$と言われたが・・・。キャッシュでアメリカ・ドルかユーロを用意すること。お釣りなどまともにくれないので、小額紙幣を用意しておいたほうがいい。
・入国するとビザか入国スタンプの代わりになる小さな紙をくれる。失くすと出国時にややこしいことになるので、大事に保管すること。
・にゃおんちゃんは途中で放り出されたが、通常バスは駅前まで行く。ツェントラへ行くには駅から1番のマルシュルートカに乗る。運賃は1~2ドニエストル・ルーブル程度だったと思う。


《つづく》

関連記事
19:14  |  2007モルドバ・ウクライナ  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

相変わらず面白いですな~。
一気に読めました。
daikichi1966 |  2007年09月15日(土) 09:48 |  URL |  【コメント編集】

ありが㌧
にゃおんちゃん |  2007年09月17日(月) 20:59 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する


 管理者だけに表示  (非公開コメント投稿可能)

▲PageTop

Trackback

この記事のトラックバックURL

→http://powerpopisland.blog68.fc2.com/tb.php/223-27b47eed

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック

▲PageTop

 | BLOGTOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。