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2007.02.16 (Fri)

【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その17)

これまでの経過はこちら
東部戦線で補給に苦しみ消耗が激しいドイツ軍。史実どおり転げ落ちていくのか、新たな欧州秩序を打ち立てるのか、いよいよ正念場となりました。


諸君は戦争経済というものをご存じないようだ - 1940年7月7日~8月17日

命がけの説得によって非ロシア民族国家の独立を取り付けたものの、総統の逆鱗に触れたポテンテは東部戦線送りとなった。軍人ではない彼が最前線で銃を取って戦うことは無いにしても、もし万が一負けて帰るようなことがあれば刑務所送りにされるのは免れないだろう。
ポテンテが旅立つ日、総統に仕える美人秘書ニーナ・ゲーレンが訪ねてきた。ニーナはポテンテの顔を見ると、セルビア語訛りのドイツ語で涙ながらに訴えた。

「ポテンテ補佐官、あなたがいなくなったら、私はだれに愚痴を言えば言いのですか?私の周りにいる人達は愚痴を聞いてくれるどころか、私が愚痴を言う原因となっている人ばかりなのですよ。私、ポテンテさんがないと・・・うぅっ・・・」

ポテンテは、ニーナが前線へ赴く自分の身を案じているのか、愚痴を聞いてくれる人がいなくなるから困っているだけなのか、その真意を測りかねて苦笑いするばかりだった。


ワルシャワ中央駅のホームで乗り換え列車を待つポテンテはつぶやいた。

「トロピコ島にいた頃、Guicho Zurdo閣下に叱られた際に“東部戦線送りにするぞ”と脅されたことがあったが、まさか本当に行くことになるとは思わなかった・・・。しかし、これで当分の間、誇大妄想狂の総統や見栄っ張り空軍総司令官の顔を見なくて済むんだ。悪いことばかりではない」

そんなポテンテが向かった先は、モスクワを目指して白ロシア南東部の都市ゴメリまで進軍していた中央軍集団。理由は「モスクワに行ってみたいから」。ただ、それだけの理由だった。ヒトラー総統がパリに憧れていたように、ポテンテにとってモスクワを訪れることは長年の夢だった。
何も知らない一般兵達は総統の側近が視察に来たことに張り切っていたが、中央軍集団の長クルーゲ大将は、ポテンテ補佐官とヒトラーの間に何があったのか全てを知っていた。
事実上の左遷であることから、これといってすることも無いポテンテは、毎日各部隊を訪ねては指揮官から炊事兵までを相手に様々なイタズラを行い、憲兵に追いかけられる毎日を過ごしていた。そして、それに飽きると、今度は「戦車に乗せてくれ」などと無茶を言ってはクルーゲ将軍を困らせていた。

そんなポテンテがクライスト中将の好意によって戦車に乗せてもらい、ニコニコしながら前線へ向かっていた8月中旬、オストプロイセン州ラステンブルクにある総統大本営『ヴォルフスシャンツェ(狼の巣)』の作戦会議室では再び騒動が巻き起こっていた。ヒトラーは独ソ戦が始まると、ここに指令本部を作って移り住んでいた。

アドルフ・ヒトラー

戦況はどうなっているのかね?ポテンテの奴は「順調、順調、全て順調」という報告しか寄越さないのだ。まったく困った奴だ。

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

北方軍集団はスモレンスクまで進軍していますが、モスクワから来た敵の増援部隊に阻まれて先に進めない状況が続いています。

アドルフ・ヒトラー

ソ連軍は、やはりモスクワ周辺に多くの部隊を配置しているようだな。

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

ゴメリにいる中央軍集団はトゥーラを経由して南からモスクワを狙う予定ですが、大きく拡大した戦線と悪路に手を焼いています。南方軍集団だけは順調で、既にドン川まで到達しつつあります。

アドルフ・ヒトラー

敵が大軍で待ち構えているところに無理に進む必要は無い。ウクライナやカフカスは資源が豊富だから、こちらの占領を優先しよう。中央軍集団の一部を南部へ向かわせるのだ。

ルートヴィヒ・ベック

な、何ですって?モスクワはどうするのですか。中央軍集団をこのままモスクワへ進ませれば、北方軍集団と挟み撃ちにしてモスクワを落とすことができますぞ。

アドルフ・ヒトラー

私の将軍達は『戦争経済』というものを分かっていないようだ。モスクワを占領したところで、スターリンは奥地へ逃げるだけではないか。それよりも、資源を押さえて奴らを立ち枯れにするべきなのだ。

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

しかし、それでは敵に立ち直る隙を与えることになります。北方軍集団がモスクワ周辺に陣取る敵を減らしたというのに。

アドルフ・ヒトラー

案ずることは無い。奴らはたった3ヶ月で100個師団近くを失っているのだ。もう死んだも同然だ。

ヘルマン・ゲーリング

総統、スモレンスクの北方軍集団からパウルス少将が報告に来ましたよ。

フリードリヒ・パウルス

総統閣下に報告します。
我が軍は敵20個師団を撃破し、ヴェリーキエ・ルーキまで進軍しました!

アドルフ・ヒトラー

ほら見たことか。赤軍兵士など何万人いても、所詮は烏合の衆なのだ。

フリードリヒ・パウルス

しかし、敵の兵力はどんどん増えています。倒しても倒しても、どこからか増援部隊がやって来るのです。それに対して我が軍は補給が追いつかず、部隊の消耗は進む一方です。

アドルフ・ヒトラー

・・・何ということだ。ポテンテやローゼンベルクの言ったことは正しかったのか。

フリードリヒ・パウルス

休止して部隊の回復を図ろうにも、敵軍は拡大しきった戦線の弱いところを徹底して突いてくるので、現在の戦力では戦線を維持しきれません。航空部隊の支援も不足して・・・。

アドルフ・ヒトラー

もうよい!そんな報告はこれ以上聞く必要は無い!賽は投げられたのだ。我々は何があっても戦い続けなければならない。そして、どれほど敵が強大だとしても勝利しなくてはならないのだ。

フリードリヒ・パウルス

それならば、私はモスクワ攻略を具申します。戦争が長期化して消耗戦になる前に、敵の戦意を喪失させ、降伏させなければなりません。

アドルフ・ヒトラー

首都攻略など時代遅れの戦い方なのだ!お前たちはモスクワ攻略に固執したナポレオンがどうなったか知らないのか?私は歴史を知る者だ。ナポレオンと同じ失敗はしない。

フリードリヒ・パウルス

総統!お待ちください!

アドルフ・ヒトラー

私はこれから財界人との会合に出席しなければならないのだ。
私の指示したとおり作戦を進めておくように。それでは失礼するよ。

ヴェルナー・フォン・フリッチュ

ああ、どんな顔をして、こんな無謀な作戦を部下に命ずれば良いのだ・・・。
このままでは、あの伍長あがりに全てを台無しにされてしまう。

ルートヴィヒ・ベック

パウルス少将、急いで白ロシアへ行ってポテンテ補佐官にこのことを知らせてくれ。
彼なら何か良いアイディアを持っているかもしれない。


その翌日、ベルリンから軍用機でやって来たパウルス少将がゴメリの中央軍集団を訪ねると、ポテンテは机にかじりついてノートに何かを必死に書いていた。パウルスが来たことにも気づかず、本を見ながらひたすら何かを書き写している。
「ポテンテ補佐官、何をしているのですか?ずいぶんと熱心なご様子だ」
パウルスがノートを覗き込むと、そこには何やら見慣れない不気味な文字が踊っていた。
「ほぉ、ヘブライ文字とは珍しい。一体何に使うのですか?旧約聖書でも読むのですか?」

突然声を掛けられたポテンテは一瞬驚いた顔をしたが、次の瞬間に憮然とした表情に変わった。
「これはキリル文字です!私はロシア語の勉強をしているのです!」
ポテンテの予期せぬ言葉にたじろいだパウルスはもう一度ノートに書かれているミミズのような文字を一瞥するが、やはりどう見てもキリル文字には見えない代物だった。

「それで、北方軍集団の一員としてモスクワ周辺に展開する敵部隊を掃討中のあなたが、突然こんなところまで来た理由は何なのですか?」
ポテンテは机の上の本とノートを乱暴に閉じると、相変わらず憮然とした表情のままパウルスに問いかけた。バツの悪そうな顔をしたパウルスが事の次第を説明すると、ポテンテはヘラヘラ笑い、手にしていた鉛筆をクルクルと回しながらながら言った。

「あんなチョビヒゲの言うことなんか、適当に聞いてりゃいいんですよ。私のモスクワ行きを邪魔しないでいただきたい。要は南方軍集団の攻略作戦を予定よりも早く進めればいいんでしょう?だったら、エジプトとパレスチナ攻略に備えてトルコに待機しているヴァルター・フォン・ブラウヒッチュ中将率いる8個師団を、カフカス攻略に投入すればいい。補給網がこれほどカツカツの状況ではエジプトへの上陸作戦などできるはずもない。トルコで遊んでいる彼らを活用するのです。
これで南方軍集団主力部隊はウクライナとスターリングラード攻略に専念できるから、中央軍集団からの支援は必要無い。総統もそれで納得しますよ、多分。ただし、私の発案であることは内緒にしておいてね。あのヒゲがヘソ曲げるから」

総統の命令に逆らうことをひたすら恐れるパウルスは、「確かにそれは名案だが・・・」と言いつつも暗い表情のままゴメリを去っていった。しかし数日後、ベック統合参謀総長とフリッチュ陸軍総司令官の必死の説得によって、ヒトラーはポテンテの案を採用することに同意した。


ソ連は何をトチ狂ったのか独ソ戦開始後まもなくバルト三国に宣戦布告して余計な敵を増やし、逆にヴィルノ(ヴィリニュス)をリトアニアに奪還されるなど散々な目に遭っていたが、8月12日にエストニアを併合した。タリン出身のローゼンベルクはその知らせを聞くと、悲痛のあまり手にしていた万年筆を落とし、天を仰いだという。
リトアニアもソ連と交戦状態になったことを知ったポテンテはリトアニアのスメトナ大統領に手紙を書いて同盟締結を提案するが、メーメルを取られたことを根に持つスメトナはこの提案を無視した。

そして、ドイツ軍が東部戦線各地で死闘を繰り広げていたこの頃、イタリアがユーゴスラビアに続いてギリシャも併合し、バルカン半島制圧を完了した。

8月13日にはイラン(ペルシャ)でクーデターが発生し、親独的だった皇帝レザー・パーレヴィ(パーレヴィ1世)が失脚した。パーレヴィ1世のドイツへの傾倒が、ソ連とイギリスの共同進駐を招いたためだ。新たに親英米派のパーレヴィ2世が帝位に就いたイランは連合国の一員となり、枢軸国に対して宣戦布告した。これによってトルコはカフカスに陣取るソ連、パレスチナのイギリス軍、そしてそのイギリスの属国であるイラクに加え、さらにイランと4ヶ国を相手に戦う羽目となった。バグダッドを陥落させ、イラク制圧目前のトルコだが、苦戦は免れないだろう。

8月17日にはニューカレドニアをはじめとするオセアニアのフランス領が、ヴィシー政権支持から自由フランス支持へと鞍替えした。


《つづく》

 

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Comment

身を案じてますともw
ニーナ |  2007年02月19日(月) 01:00 |  URL |  【コメント編集】

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