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2006.12.16 (Sat)

【世界の香ばしき国々】第27回:コロンビア(Part7) - 口で言っても分からないバカは殴るに限る

前回の記事の続きです。
パストラーナ政権時代とは一転して強攻策に出たウリベ政権ですが、徹底的にゲリラを叩くことによって事態が好転しました。口で言っても分からないバカはぶん殴って分からせるに限る、ということなのでしょうか。


◆ゲリラの上手な締め上げ方 - 2002年~2003年
アルバロ・ウリベ大統領となったウリベは国軍兵力を2倍に増やすことを宣言し、アメリカとタッグを組んでゲリラを叩き潰す姿勢を鮮明にした。これに対し、FARCはウリベが大統領就任式に出席している真っ最中に会場近くでロケット弾を使ったテロ行為で報復した。そのため、ウリベは就任5日後には早くも非常事態宣言を発令する羽目となった。
9.11以降にアメリカが打ち出した「断固としてテロリズムと戦う」という姿勢に引っ張られて、コロンビア情勢は一転した。パストラーナ政権の和平政策で作られた仲裁委員会へ理事を多数出していたEU諸国も、アメリカとウリベ政権からの要請によりFARCをテロ組織と認定してしまった。

2002年6月にはアメリカ国務省次官補が「コロンビア内戦への介入も辞さない」と発言したため、憤懣やるかたないFARCは「ポストが赤いのも電柱が高いのも、全部俺達が悪いのか?ふざけんな」と怒りのコメントを発し、地方都市でウリベ派に属する市長・市議などを暗殺した。FARCは他のウリベ派市長・市議に対しても「辞任しないと殺す」と脅迫したが、これを見たAUCが「辞任したら殺す」と対抗したため、多くの市長・市議が「辞めても辞めなくても俺達は殺されるのか」と煩悶する羽目となった。

アメリカ議会は総額290億ドルにのぼる反テロリズム支援法を可決し、うち3,500万ドルがコロンビア政府へ提供された。アメリカの強硬姿勢に支援されたウリベ政権は、8月になると「ゲリラ対策の最終解決方針」を発表した。これは前述のとおり倍増された国軍兵力を頼りにゲリラとの全面対決を掲げ、新設の国家防衛最高評議会を頂点とする実質的な軍事独裁体制への移行を狙うものだった。民間出身でこんなことする大統領も珍しいが、戦時下同然と考えれば当然か。


丁度この頃、カスターニョがAUC議長を辞任してしまいAUCは崩壊の危機にあった。総司令官辞任後も議長に留まり民兵組織を束ねていたカスターニョだったが、この数年で急激に構成員が増えていたことから、元々様々な民兵組織の寄り合い所帯であるAUCを統制しきれなくなっていた。やがて内部で激しい対立が巻き起こり、もはやコントロールしきれないと悟ったカスターニョは「無政府主義に冒された一部のバカどもが麻薬ビジネスにばかり精を出し、今のAUCは当初に我々が掲げた理念と掛け離れたものとなった」と捨て台詞を吐いて、自分の出身組織であるACCUを率いて去っていった。

民兵組織をコントロールすべく合法化したサンペール政権だったが、合法化された民兵組織はAUCという一大連合へと発展し、政府の統制が及ばない組織となっていた。というわけで、カスターニョの辞任を見たウリベはチャンス到来とばかりにAUCの切り崩しに取り掛かった。
内部対立で弱体化したAUCはウリベ政権の切り崩し工作に対して抗しきれなくなり、2003年7月に武装解除に合意した。当初は2005年末までに完全解除の予定だったが、2006年になっても民兵組織は活動を続けている。ただし、かつてのような政府も手を付けられないほどの大規模なものではない。


アメリカという後ろ盾を得たウリベの掲げる強硬姿勢によって、FARCは軍事的にも政治的にも窮地に追い込まれ、2002年後半には目に見えて闘争活動が鈍っていた。ウリベは「2006年までにゲリラを殲滅する」と気勢を上げ、アメリカはFARCの銀行口座を凍結した。
FARCは苦し紛れのテロや挑発的なコメントで報復したものの、ブッシュ政権の徹底した「1発殴ったら100発にして返す」という姿勢により手詰まりとなっていた。パストラーナ政権の頃にはあれほど好意的だった諸外国も冷淡になり、アメリカの圧力に屈したビセンテ・フォックス大統領によって唯一外国にあったメキシコの事務所も閉鎖の憂き目に遭っていた。

ウリベ政権は高い支持率を盾にして軍や治安部隊の権限強化を図り、2003年4月にはマルランダをはじめとするFARC幹部をテロリストとして指名手配するに至った。これに対してFARCは後手を踏み続け、マヌケな前線指揮官のミスによってアメリカ人の民間人に手を出してしまい、ついに米軍特殊部隊の介入を招くという事態に陥ってしまった。マルランダは状況を好転させるべくELNと統一戦線を組んで全面的に共闘する体制を作るが、ウリベの恩赦を掲げた切り崩し工作によって政府に投降する兵士が出始めていた。


◆ GO!GO! ウリベさん 2004年~
ウリベは着々と政権基盤を固めていた。国民投票制度の導入や大統領の再選禁止規定廃止に失敗して閣僚が次々と辞任するというアクシデントはあったものの、支持率は80%に達する勢いだった。強権的な政権運営が批判されることも多かったが、ゲリラや民兵に対する強硬姿勢によって殺人・誘拐事件がたった1年で20~30%も減少したのだから、民衆が彼を支持するのも当然のことだった。
悪党が徘徊し銃弾が飛び交う土地で、「民主主義が云々」と言ったところで撃ち殺されるのがオチだ。そんなものは何の役にも立たない。ウリベ自身も「もちろん社会的不公正は排除しなくてはならないが、一番大事なものは平和だ」と語っている。

ただし、その代償としてアメリカの傀儡色が強くなった。コロンビア政府は2003年9月に国際刑事裁判所規程を批准したが、これがアメリカ様の逆鱗に触れることになってしまい軍事援助を大幅に削減されるという報復措置に遭った。アメリカは政治的に悪用される危険性があるとしてこの制度に反対の立場を取っているからだ。実際は米軍兵士が国外で作戦活動を行った際の不法行為(主に非戦闘員虐殺など)により訴追されることを嫌っているからだと言われている。
アメリカにしてみれば、これから特殊部隊を展開させてゲリラを掃討しようというのに、コロンビア政府にこんなものを批准されてはたまったものではない。アメリカ様の激怒に震えあがったウリベは、「特殊活動に関わる米軍兵士について適用外とする」という二国間合意を差し出して平伏した。
また、司法当局によって骨抜きにされていたアメリカへの麻薬犯罪者引渡し条約だが、ウリベ政権になってから法的問題がクリアーとなり、カリ・カルテルのオレフェラ兄弟などがアメリカへ移送されている。


2004年に入っても、ウリベは容赦無くゲリラと民兵を弾圧し続けた。勢い余って労働運動指導者を殺害してしまった軍幹部が「労働組合員と社会指導者たちはすべてゲリラだ」と暴言を吐いたが、治安が極悪なままに比べたらそんなことはたいした問題ではなかった。ウリベにボコボコにされたELNが「あいつが大統領である限り和平交渉なんて無理だ」と泣き言を言ったが、そもそもパストラーナが和平を呼びかけたときもテロばかりやらかしていた無法者なのだから、こいつらが何人死のうが全く問題ではなかった。
12月には憲法改正が行われ、大統領の再選禁止規定が廃止された。ウリベの強権政治が続く可能性があるが、そもそもその強権政治のおかげで国民は自分の生命や財産を理不尽に奪われる危険性が低下したのだから、これだって問題ではない。治安部隊の横暴を見た欧米の人権団体がコロンビア当局を批難したのに対し、ウリベが「あいつらはテロリストの代理人か?卑怯者」とコキ下ろしたのだって全然OKなのだ。


2005年になるとELNの惨状を見かねた関係国が政府との仲介に乗り出す。ところが身の程知らずのELNは、仲介役のひとつであるメキシコが国連人権委員会でキューバを非難する決議に賛成したことに怒ってメキシコを口汚く罵るなど、自分達の立場を全く分かってない発言を繰り返した。結局、これといった手も打てないままウリベ政権とアメリカに締め上げられ、2006年4月に殆ど降伏に近い形で休戦協定にサインする羽目となった。
一方のFARCも抵抗を続けたものの事態を打開するまでには至らず、ブラジルのルイス・ルーラ大統領が主導した和平交渉も不発に終わった。そこで、隣国ベネズエラのチャベス大統領に泣きついたが、チャベスも沈みかけた船に乗るほど愚かな男ではないので、表立ってFARCを助けるようなことはしなかった。チャベスの反米実践方法は、自国で産出される石油を武器に世界各国の反米国家とのネットワークを構築することへと変わっており、もはやコロンビアの山奥にいる時代錯誤のバカ・ゲリラへ援助することではなくなっていた。っていうか、チャベスだってクーデター疑惑やら暗殺計画やらで命を狙われていて、FARCなんぞにかまけてる暇は無いのだ。

2005年3月の国会議員選挙ではウリベ派が上下両院で過半数を占め、5月の大統領選挙ではウリベが得票率62%で圧勝して再選を果たした。二期目に入ったウリベ政権は引き続きゲリラ殲滅に取り組んでいるが、それに加えて経済改革も進めている。ウリベは新自由主義者と見なされており、IMFが掲げる自由貿易や積極的な民営化、政府予算の歳出削減を推進している。反対派はこれを貧富の差をさらに拡大させるものとして反対しているが、政権支持率は相変わらず高い位置をキープし、統計上の数値を見る限りでは着実な経済成長を遂げている。
いずれにせよ、諸悪の根源は貧困だ。農民が麻薬を栽培するのも、若者がゲリラに加わるのも全ては貧困が原因なのだ。コロンビアがまともな国になるか否かは、全ては貧困の撲滅にかかっていると言ってもよい。

≪コロンビア編終了≫

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23:32  |  コロンビア  |  TB(0)  |  CM(2)  |  EDIT  |  Top↑

Comment

●ICCはコロンビア訴追を検討中です

情勢にお詳しいですね!私は先月、国際刑事裁判所(ICC)に関するハーグの締約国会議に出席してきたのですが、NGOの全体ミーティングでコロンビア代表が切実にICCの介入を訴えていました。実際、ICCのモレノオカンポ検察官はコロンビアに関する事前調査に乗り出しており、BIA(二国間免責協定)によって米兵を訴追できなくても(厳密には訴追はできるんですが逮捕・拘留できないんですよね)、コロンビア人に対しては管轄権を持ちますから、政府からの付託を待つか独自で捜査を開始する予定でいるようです。

そこでコロンビア情勢にお詳しい貴方に質問なのですが、ICCの介入はことをより難しくすると思いますか?それとも、なんらかの突破口あるいはカオティックな状態の歯止めとなる、足がかりになると思いますか?
jnicc勝見 |  2006年12月19日(火) 12:43 |  URL |  【コメント編集】

うへぇ・・・難しい質問ですね。
私は、コロンビアに駐留する米軍が現在どんな作戦活動を行っているか詳細までは知らないのです。また、現地にも行ったことがありませんので、現地の実情が分かりません。遠く離れた日本から眺めて「うへぇ、こりゃとんでもない国だな」と言っているだけで・・・。

一般論としては、この手のズタボロな国に「民主主義」だの「人権」だのご大層な思想を持ち込んでも余計に混乱するだけで、独裁政治をやったほうが状況が改善されたりします。
実際、ウリベ政権の強攻策によって殺人事件が1年で20%も減ったなんて話を聞けば、端から見てる分には「これでいいんじゃないの?」と思ってしまいます。もちろん横暴な軍・警察に泣かされることはあるのでしょうが、ケリラや民兵が跋扈するのとどちらがいいの?と。

まあ、あくまでこれは一般論ですから、現地の実情を知らないことには何とも言えません。お力になれず申し訳ありません。
にゃおんちゃん |  2006年12月20日(水) 22:05 |  URL |  【コメント編集】

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