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2006.12.14 (Thu)

【世界の香ばしき国々】第26回:コロンビア(Part6) - 和平の兆し、そして暗転

前回の記事の続きです。
ダメダメのコロンビアでしたが、パストラーナの登場によって転機を迎えます。しかし・・・。
この国に平和はまだ訪れません。


◆進まない和平 - 1999年~2000年
パストラーナの和平交渉は遅々として進まず、左翼ゲリラと民兵組織の戦いは激しさを増し、毎月のように大量の戦死者と民間人の犠牲者が生まれていた。FARCは和平交渉で優位に立とうとしたのかコロンビア全土で警察署や民兵組織のキャンプなどへの大規模な襲撃を繰り返し、一方の民兵組織も農民や労働運動家を次々と殺し続けていた。

1999年3月、FARCがアメリカ人の人権運動活動家を殺害する事件が起きた。マルランダは現場の指揮官のミスであることを認め謝罪したが、アメリカ政府はカンカンに怒り「犯人を我々に引き渡さない限り、お前らとの交渉には応じない!」という声明を発表した。
これがきっかけという訳ではないが、アメリカのクリントン政権は一向に進展しないコロンビア情勢に業を煮やし、パパ・ブッシュ政権時代のアンデス・プランに続いて「プラン・コロンビア」と呼ばれる援助政策を打ち出してきた。これはコロンビア軍への軍事援助を中心に13億ドルからなる援助パッケージで、アメリカはこの中でFARCを資金獲得のために農民を使って麻薬栽培を推進する「麻薬ゲリラ」とみなし、そのFARCを叩き潰すためにコロンビア政府に大規模な支援を行うという考えを示した。麻薬戦争と銘打てば多くの人からの支持を得やすいし、クソ忌々しい共産ゲリラFRACを潰せれば、アメリカにとっては一石二鳥だ。

しかし、確かにFARCが支配する地域では麻薬栽培が行われているが、コロンビアの山奥に住む彼らがコカを栽培したところでそれが即アメリカへ密輸される麻薬に繋がるわけがなく、実際にはそれを精製して密輸する連中がいるからこそ麻薬がアメリカに入ってくる。メデジン・カルテル壊滅以降、精製や密輸、さらに儲けた金のマネーロンダリングはカリ・カルテルや民兵組織が手がけているのだが、プラン・コロンビアの中ではその点については触れられていない。
また、予算の大半はコロンビア軍への軍事支援に費やされており、そもそも麻薬を栽培しなくてはいけないほど貧しい農家への貧困対策には殆ど予算がついていない。


10月になると再び政府とFARCの和平交渉が始まった。また、一度は絶縁状を叩きつけられたELNだが、飼い主のキューバが仲介に乗り出してきてこちらも政府との交渉が始まっていた。これを見た市民はボコタで100万人が参加して和平を訴えるデモ行進を行った。そりゃ国民もうんざりするわな。
この頃のコロンビアは そこらじゅうで殺人事件が起こって治安は最悪、国家財政はIMFからの支援を受けても立ち直れず、都市での失業率は20%を超え、経済成長率は-4.5%と瀕死の状態だった。この国は100年前からずっとズタズタなのだが、そんなコロンビアといえども世界恐慌以来マイナス成長にだけはなったことがなかった。しかし、そんな市民の思いとは裏腹にFARCやELNは武力闘争を続け、政府軍との衝突を繰り返しては多くの民間人を犠牲にした。
ちなみにELNとキューバの関係はイデオロギーを共にする同志というだけでなく、キューバ政府はコロンビア産麻薬の横流しをして外貨を稼いでいることから商売のパートナーでもある。

ところが2000年1月、散々暴れていたFARCが突如政府との交渉再開を宣言した。パストラーナはこれにすぐに応じ、さらには国連も両者の交渉を支援した。政府、FARC、国連の三者はコロンビア担当のビクトル・リカルド平和問題高等弁務官を団長とする「政府=FARC合同派遣団」を作り、視察と称して欧州各国を訪問した。これはあまりにも現実離れした要求ばかりして時代錯誤が甚だしいFARCの連中に先進国の政治・経済体制を見てもらうことと、欧州各国にFARC幹部を知ってもらうことを目的としている。
一国の政府が反政府ゲリラの幹部を引き連れて海外ツアーに行くなど前代未聞の話だが、コロンビア政府の本気度が窺える。


政府軍と左翼ゲリラの衝突は続いていたものの両者は交渉を重ね、7月には和平協定の成立目前まで漕ぎ着けた。しかし、その直前の4月に担当のリカルド高等弁務官が突如辞任している。本人は突然の辞任について「両者の交渉はもう道筋がついている。あとは自分がいなくても話は進んでいくから問題ない」と言っていたが、実際には民兵組織から凄まじい脅迫を受けていた。
また、FARCは政府と交渉する一方で富裕層に対して「富豪税」なるものの支払いを要求し、これを拒否した農園主の首に時限爆弾を巻きつけて爆殺している。まるでバトル・ロワイヤルだ。

両者は和平協定に重みを持たせることと国際的な支援を取り付けることを目的として、諸外国の代表を招いた公聴会を何度も開催していた。この席上で、FARCは未だに誘拐した人質を拘束しているなど人権侵害について参加者からボロクソに批難され、幹部連中はショックを受けていた。先の視察旅行といい、こういう話から察するにFARC幹部は国際情勢に疎いのだろう。
同じ左翼ゲリラでもトルコの「クルド労働者党(PKK)」や「パレスチナ解放人民戦線(PFLP:前身組織は極左ゲリラ)」は欧州やアメリカに事務所を構えて情報収集・発信に機敏なのに対し、FARCやペルーの「センデロ・ルミノソ」といった南米の左翼ゲリラは1990年代になってもソ連や中国で使い古されたアジ文句を叫んでるだけなので、「山奥に隔離された時代錯誤のバカゲリラ」という印象を受けてしまう。


◆和平を阻む者たち - 2000年~2001年
2000年になるとAUCは拠点を西部から北部へと移し、同じく北部を地盤とするELNと死闘を繰り広げるようになった。これはFARCと比較すると規模の小さいELNから叩こうという戦略なのだが、同時にELNが持つ北部の麻薬利権を強奪しようという企みも含まれている。実際、軍や州政府の幹部がこの悪巧みに便乗したため、AUCには民兵に化けたコロンビア軍正規部隊が加わっていた。
これだけ麻薬ビジネスが発達してる国なのだから政府や軍の高官がこれと無縁であるわけがない。マフィアから賄賂を貰って手心を加える程度など可愛いほうで、1998年にはアメリカの空港でコロンビア空軍機から700kgのコカインが見つかるというとんでもない事件まで発生している。このときには怒り心頭のパストラーナによって軍首脳数名のクビが飛んでいる。

メデジン・カルテル壊滅以降、コロンビアの麻薬王となったオレフェラ兄弟率いるカリ・カルテルだが、1995年にオレフェラ兄弟が逮捕されて以来、徐々に衰退していた。すると、マフィアの残党は民兵組織に接近して商売をするようになっていった。マフィアはアメリカの支援を受けた政府軍から容赦なく攻撃されるようになったうえに、幹部の多くがアメリカのブラックリストに載っており、逮捕されてアメリカへ引き渡されるという恐怖に晒されていた。
しかし、民兵組織のメンバーと認定されれば政治犯として引き渡し対象外となるため、マフィアの多くが民兵組織へと流れ込んだ。組織内に政治的目標を持たないマフィア連中が増えることによって、民兵組織は武力闘争よりも金儲けを優先するような傾向を見せ始めることになる。

プラン・コロンビアによるアメリカからの武器援助や麻薬で儲けた金によって軍と民兵組織の戦力は増強され、彼らはゲリラへ激しい攻撃を加えた。また、プランの一環としてコカ栽培地域への枯葉剤散布もこの頃から始まった。こんなことをしたらコカだけじゃなくて何も栽培できない土地になってしまうが、どうせ農民は他の作物に転換しないのだからそれなら枯葉剤でも何でも撒いてしまえ、ということなのだろう。


一方、パストラーナは再度マルランダと直接交渉を行って事態の打開を目指すが、AUCは執拗に農村を襲撃してはゲリラ支持者の殺害を繰り返し、両者の交渉を潰そうと試みた。そもそも右翼民兵組織にとってゲリラは「交渉すべき相手」などではなく「抹殺されなければならない存在」であり、その支持者など「唾棄すべきゲリラの手先となり国を裏切った大罪人」なのだ。
パストラーナは狼藉が過ぎる民兵組織に対しても軍を派遣して資金源の麻薬工場を潰そうとするが、政府・軍内部の内通者によって事前に情報が漏れており、1gのコカインも押収できなかった。マルランダがこのような政府の無能ぶりに怒り交渉は頓挫しかけたが、それでも両者は2001年2月に再び直接会談を果たした。再開を果たした両者はオスポゾス協定について再協議を行い、その有効性の復活を確認する「ロス・ポソス協定」を締結した。

両者はロス・ポソス協定に基づいて10ヶ国から成る「仲裁委員会」を設立し、委員会理事国の監視と支援の下で捕虜交換を行うなど、和平交渉を進めようとした。一方、この年の1月に誕生したアメリカのブッシュ政権はFARCの存在など認めるわけがなく、「西半球に本拠地を置く最も危険な国際テロリスト」と呼んで両者の交渉を牽制した。ブッシュ政権は同時にAUCもテロ組織認定したが、こちらは「米国の安全の脅威とならない第二集団に分類されるテロ組織」として扱い、事実上容認する姿勢を打ち出した。
アメリカと同様に両者の交渉に危機感を募らせたAUCは行動を活発化させ、北部の国境地帯の街サン・ロレンソに前線基地を建設した。ところが、FARC=ELN連合の攻撃によってこの基地が壊滅に追い込まれ、カスターニョは総司令官辞任へと追い込まれた。それでもFARCとAUCの血みどろの戦いは続き、両者は二桁台の死者を出す戦闘を毎月繰り広げた。

2001年10月、コロンビア政府とFARCは「サンフランシスコ・デ・ラ・ソンブラ協定」に署名した。内容は、FARCは道路検問と旅行者の誘拐をを中止し、政府は民兵組織の取り締まりに努力することとなっている。FARCとの交渉は進む一方、ゴネ続けていたELNはパストラーナに「和平プロセスを進めようという意思がない」と再び干され、軍の標的となった。


◆パストラーナの豹変、ウリベ政権の誕生 - 2001年~2002年
ところがその直後、パストラーナはアメリカの圧力に屈して態度を豹変させた。ブッシュ政権は当初からFARCを「西半球で最も危険なテロリスト」「殲滅の対象」として敵視していたが、9.11テロ以降はカタ派色全開と化し、和平交渉を進めるパストラーナに強烈な圧力を掛けていた。いかなる理由があろうとも、アメリカ大陸に左翼テロリストが参画する政府ができることなど許されないのだ、と。
アメリカ政府は「FARCとAUCはテロリストであり麻薬業者である。政府が犯人を引渡さなければ、アフガニスタンの場合と同様の措置を取る」とパストラーナ政権を恫喝した。マルランダは「我々は政治団体として政府との交渉を進めてきた。今まではテロリスト扱いされていなかったのに、突然変わった理由を知りたい」と和平の推進を懇願するが、豹変したパストラーナは「我々は今まで十分にゲリラに譲歩した。今度は彼らが約束を守る番である。これ以上の延期や弁解は認めない」と、マルランダの問い掛けを黙殺した。

2002年1月、コロンビア軍は非武装地帯に関する協定の有効期限満了に伴い、南部の非武装地帯に軍を送ることを宣言した。このような政府の豹変ぶりをFARCが突然受け入れられるはずもなく、交渉は難航した。すると、政府は「FARCは話し合う気が無い」としてすぐに交渉を打ち切り、アメリカも「FARCが和平をブチ壊した」と批難した。完全な出来レースである。結局、国連や仲裁委員会諸国から「アメリカは本気だ。ここは堪えてくれ」と説得されたマルランダが渋々引き下がり、FARCは1998年以来実効支配してきた非武装地帯から撤退した。

政府のFARC潰しはさらに続く。2月にはハイジャック事件が発生し、国会議員が拉致された。これもFARCを追い落とすために政府・軍によって仕組まれた陰謀だ。FARCはすぐに関与を否定したが、パストラーナはFARCの仕業と断言すると翌日に非武装地帯への総攻撃を開始した。
追い詰められたFARCは、ゲリラ支配地域を訪問していた大統領候補イングリッド・ベタンクール(元大統領ベリサリオ・ベタンクールの娘)を誘拐するが、イングリッドはフランス国籍も有していたことから、仲裁委員会理事国のひとつであるフランスまで敵に廻してしまった。


政府軍とFARCの戦闘が繰り広げられていた2002年3月、パストラーナの任期満了に伴い大統領選が行われた。相変わらず投票率は低調で50%にも満たなかったが、右派が躍進して無所属の独立系候補アルバロ・ウリベが当選した。パストラーナ政権が進めていた和平政策が頓挫したことによって、他候補よりも強硬な政策を掲げていたウリベが勝ってしまったのだ。
彼はAUCとも関係があるバリバリの右翼で、貧相な見た目とは裏腹にFARCに対して強硬姿勢で臨むことを明言していた。

ウリベはメデジン・カルテル全盛期の1980年代前半にメデジン市長を勤め、パブロ・エスコバルと共同で貧民対策を行った経歴がある。1995年になるとメデジンがあるアンティオキア州の知事となるが、サンペール政権が打ち出したCONVIVIRを積極的に支持し、州政府主導で民兵の訓練などを行ったことがあることからAUCと深いつながりがある。エスコバルやらカスターニョやら随分香ばしい奴とお付き合いしてますな。
また、彼は富裕層の出身で、父親をFARCによって誘拐・殺害されている。

≪Part7につづく≫

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