2007モルドバ・ウクライナ旅行記(その34)

◆ポルタヴァの戦い博物館へ

8月29日(水)
灼熱地獄のヤルタを発ち、ドニエプロペトロフスク経由でウクライナ北東部の学園都市ポルタヴァへやって来たにゃおんちゃん。昨日はここポルタヴァ在住のアンドレイ氏に案内してもらい、市内を見て回った。アンドレイ氏は英語の教師なのだが、学校が夏休み中につき仕事はそれほど忙しくないらしく、本日も付き合ってくれるとのこと。ありがたやー、ありがたやー。
ポルタヴァにあるのに「キエフ」という名前のこのホテル、朝食付きなので食事に行くが・・・全然美味しくない。サラダとペリメニを少し食べておしまいにする。

9時過ぎにアンドレイから電話が来た。今からホテルに俺を迎えに来るという。どうやら、「ポルタヴァの戦い」に関する記念館に連れて行ってくれるらしい。
ポルタヴァの戦いとは、18世紀初頭にロシアとスウェーデンがバルト海の覇権を巡る戦い(大北方戦争)を繰り広げた際の最大の戦い。この戦いでスウェーデン軍は壊滅し、ロシアはイヴァン4世(イワン雷帝)以来の悲願だったバルト海進出を果たす。当時のロシア皇帝ピョートル1世(ピョートル大帝)はロマノフ朝中興の祖となった偉大な皇帝であり、にゃおんちゃんの大好きな皇帝陛下である。以前に「ポルタヴァといえば、ポルタヴァの戦いが有名だなぁ」という話になった際、にゃおんちゃんがピョートル大帝好きであることを知ったアンドレイは、ここに連れて行ってやろうと思っていたのだそうだ。ありがたやー、ありがたやー。


ホテルからバス停に向かい、そこからバスに乗って移動すること約20分、畑のど真ん中みたいなところで降ろされる。目の前には改築工事真っ最中のボロ屋が一軒、道路の反対側には教会とバカデカいモニュメントと林があるのみ。えー?ここ?
早速中に入ってみるが、小さな博物館なので巨大な展示物は無く、大きなものでもせいぜい大砲程度。絵画や古戦場からの出土品(銃や鎧)が多い。

アンドレイと二人で「ピョートル大帝マンセー」な会話で盛り上がる。ピョートル大帝は、西欧から見れば辺境の未開国に等しかったロシアを大国へと引き上げた偉大な皇帝だが、身長2m近くの大男でパーティーが死ぬほど大好きな大酒飲み。お忍びで出かけるのが大好きで、オランダの船大工に弟子入りして自らハンマーを振り回して造船を学んだり、飲み屋で仲良くなったおっさんを「飲んだくれ大臣」に任命したりと、非常にお茶目な人なのだ。ちなみに、サンクト=ペテルブルクを建設したのもこの人。
二人とも、「彼は偉大な皇帝だ。ただしちょっとイカレているが」という意見で一致する。

大砲とロシア兵 ピョートル大帝のデスマスク
左:大砲とロシア兵。
右:ピョートル大帝のデスマスク。

ポルタヴァの戦いの記念碑
博物館の向かいにある記念碑



◆まったり、ほのぼの、ポルタヴァ

アンドレイは一旦職場へ戻って片付けなくてはならない仕事があるため、街へ戻ってきたところで分かれる。また夕方に合流する予定だが、それまでホテルに帰って寝ることにする。やはり本格的に風邪をひいてしまったようで、具合が悪くなってきた。毎年東欧に来て、毎年風邪をひいている俺って・・・。
近所のカフェでパスタを食べた後、ホテルに戻って寝る。

16時過ぎにアンドレイと再会して、引き続きポルタヴァ市内をお散歩。夕日に染まる街の景色がとっても綺麗。
そして、ポルタヴァにもレーニン像があった。ハゲ頭のてっぺんにとまっている小鳥が、まるでちょんまげのように見えて、二人とも大爆笑。「あの鳥は粛清だ!」と二人で大はしゃぎ。

ちょんまげレーニン像 夕暮れの中に立つレーニン像
左:小鳥がとまってちょんまげを結っているように見えるレーニン。小鳥は粛清確実。
右:暮れなずむ夕日を見つめながら、レーニンは何を思うのか。

刑務所の向かいにある教会 オペラハウスの前にあった銅像
左:ポルタヴァには街の中に刑務所があり、その向かいには教会が建っている。
   罪深き囚人のために建てられたものなのだろうか・・・。
右:オペラハウスの正面に建つ銅像。
   右手の部分に携帯電話を挟めるというお茶目ないたずらをした奴がいるらしい。w



レーニン像の向かいには民族資料館らしき建物が建っている。
ヴェールカ・セルジューチカは子どもの頃にドイツ人と文通していたのだが、その際に自分の住んでいる家の写真を相手にせがまれた。しかし、彼が当時住んでいた家は小さなボロ家だったため、彼は悩みぬいた末にこの建物の写真を「これが僕の家です」と送ったそうだ。ちょwwwwwwwwwwww

民族資料館・・・らしい
こんな写真を送られた相手もさぞかし驚いたことだろう・・・。


続いて我々が向かったのは街外れにある公園。この公園には遊園地があり、時々サーカスもやって来るのだという。もうだいぶ暗くなっていたが、子どもが楽しそうに遊んでいた。遊具はソ連時代の遺物と思わしきポンコツばかりなのだが、のんびりしていて実に良い雰囲気。最新の絶叫マシン目当てに何時間も行列を作る日本人がアホらしく思えたほど。
愛する家族と一緒なら、こんなショボい遊園地でも十分楽しいよね。この街、良いところだなぁ。

ポルタヴァの遊園地その1
池や川ではなく、ビニール製の巨大なプールに浮かべてあるボート。

ポルタヴァの遊園地その2
この手の遊具はどこの街でも、街の真ん中にある公園に置かれている。キシナウ、リガ、タリンなどでも見た。

ポルタヴァの遊園地その3
ゴーカートだってあるんです!奥に写っている男の子たちが何やら一生懸命機械いじりしてました。

ポルタヴァの遊園地その4
にゃおんちゃんが一目惚れした一品。このブサ可愛さは語り尽くせない。これに乗ってキエフに行きたいくらいだ。


《つづく》

2007モルドバ・ウクライナ旅行記(その33)

◆ファシストの軍隊?

ポルタヴァ在住のアンドレイ氏と合流したにゃおんちゃんはマルシュルートカで市街地へ。まずはホテルを探さないとね。最初に行ったホテルは綺麗でこじんまりとしていて良い感じだったが、シングルルームは満室だったうえに予算オーバーなので却下。
続いて我々が向かった先は「ホテル・キエフ」。ポルタヴァにあるけどキエフという名前のこのホテル、外観や共用スペースはモルドバで泊まったホテルのように古ぼけているが、部屋はきちんと改装されて快適そう。風呂・トイレ・エアコン付きで一泊240UAH(約5,000円)。地方都市であることを考えると少し高め?とは思ったが、ここに泊まることにした。

チェックインを済ませると、早速街へと繰り出す。アンドレイが案内してくれるという。
ポルタヴァの街は緑が多く、建物も小奇麗。都会の喧騒とは無縁で、実にのんびりとしている。住むなら、これくらいの小都市のほうがいいのかなぁ?物価も高くないし環境も良さそうだし。
オデッサも綺麗な街だったが、あそこは観光地だからある程度綺麗なのは当たり前。ポルタヴァはああいう観光地の匂いはまったくしないにも関わらず、あまりに街が美しいので驚く。我が心の故郷リトアニアのヴィリニュスも大変美しい街だが、路地を一本裏に入ると今でもオンボロアパートが残っていたりする。リトアニア人の友人曰く、「独立前は街全体が古ぼけていたけど、独立後に急ピッチで改修・修復が進んで小奇麗になった」とのこと。
もしかしてポルタヴァも同じではないかと思い、アンドレイに尋ねたところ、「いや、俺が子どもの頃からこの街はこんな感じだったよ?」と言うではないか。えー?ソ連時代からこんなに小奇麗だったの?信じられないなぁ・・・。

小首を傾げているにゃおんちゃんを見ながらアンドレイは続けた。
「ここ、学園都市で大学とか多いんだよ。そんなこともあって優先的にお金を回してもらっていたのかもね。まぁ、その辺は州政府や市役所が良い仕事してきたんだと思うよ」
へー。人口30万人程度の地方都市にも関わらず、ここには大学が3つもあるのだ。しかも、そのうちのひとつはウクライナ陸軍の大学だという。
ウクライナ出身の将校でにゃおんちゃんが知っている人といえば・・・「スターリングラードの戦い」でスターリングラード方面軍を率いて戦ったアンドレイ・エレメンコ元帥くらいしか知らないが・・・。

ホテルの前で撮影
ホテルの前にあった時計塔。何の建物なのか、結局最後まで分からずじまい。


ポルタヴァの街の真ん中には公園があるのだが、ここが実に美しい。多くの市民がベンチに座ってのんびりと過ごしている。我々はその公園のすぐそばにあるカフェに入ってひと休み。二人ともロックが好きなので、「最近、どんなの聞いてる?」なんて話をする。すると、アンドレイは今年の「ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト」で2位となったVerka Serduchka(ヴェールカ・セルジューチカ)について語り始めた。彼はここポルタヴァの出身なのだという。バスターミナルからそう遠くないところにあるスーパーマーケットは彼の両親が経営しているのだそうだ。
どんな人か全然知らなかったので、帰国後に調べてみたところ、こんなのだった・・・。ぶはは、何だこれ。面白いじゃねーか。

公園のど真ん中にスタチューがあり、そのてっぺんには黄金の鷲の像が乗っている。アンドレイが鷲について説明してくれたのだが、その際に彼の何気ない一言にショックを受ける俺。

「あの鷲は黄金でできていて、独ソ戦の際にこの地にやって来たファシストの軍隊が持ち帰ろうとしたほどなんだぜ」

ファ、ファシストの軍隊?それってドイツ国防軍のこと?
「そうそう、ドイツ軍だよ」と答えるアンドレイ。

こっちではドイツ軍のことを「ファシストの軍隊」って言うのかぁ? ガ━━(゚Д゚;)━━━ン!!!!!
いや、確かにソ連は当時のドイツを「ファシスト」と罵る教育してたけどさぁ・・・。20代のあなたでもそういう言い方するのかい・・・。
ファシストの軍隊・・・なんか、すげー衝撃的な表現だよな・・・。

街の真ん中にある公園
ポルタヴァの街の真ん中にある公園。とても綺麗で居心地が良いです。

ポルタヴァのオペラハウス
ポルタヴァのオペラハウス。
この街のロックファンはこの建物の前でテープ・トレーディングや情報交換をしているらしい。

ファシストの軍隊に奪われそうになった黄金の鷲 撮影すると逮捕されるビル
左:これが「ファシストの軍隊」に強奪されそうになった黄金の鷲のスタチュー。
右:撮影すると逮捕されちゃうらしいビル


街を歩いていると、アール・ヌーヴォー様式の建物があったので写真を撮っていたにゃおんちゃん。すると、通りがかりのおねぇちゃん達がにゃおんちゃんに向かって「ここで写真撮ってる逮捕されるよ」と言うと、ゲタゲタ笑いながら行ってしまった。アンドレイも爆笑している。
状況を飲み込めず、ひとりポカーン( ゚Д゚)とするにゃおんちゃん。え?何で?

再び小首を傾げるにゃおんちゃんに向かって理由を説明。
「ここな、警備会社の事務所なんだよ」

ぶっ( ̄w ̄) 。そういうことか。
「KGBの事務所じゃなくて良かった」と言うと、アンドレイは再び爆笑しだした。


薄暗くなるまで市内を歩き回った後、ウクライナ料理の美味しいレストランへ連れていってもらって食事をした。料理は美味しく、値段もお手頃。ウェイトレスは民族衣装を着ていて可愛いらしく、文句なしに良いお店だった。街の中心部から少し遠いのが難点かな?

食事を終えると公園に戻り、ビールを飲みながら二人で話をしていたのだが、夜になると冷え込みが厳しく、最後にはクシャミを連発して鼻水を垂らしながらホテルへ戻る羽目となった。


《つづく》

2007モルドバ・ウクライナ旅行記(その32)

ポルタヴァへ行ったという話をすると、ウクライナ人は皆「普通の旅行者がわざわざそんなところに行くはずがない。女の子に会いに行ったな?」と言いやがります。男に会いに行ったんだがなぁ・・・。
そんなこと言ったら「お前はゲイか?」と言われそうなので余計なことは言わないことにしてます。

ポルタヴァは学園都市なので観光する場所は殆ど無いです。でもすごく綺麗でのんびりするには最高な場所でしたよ。学生が多いから、外国人の私がウロウロしてても不審がられませんでしたし。
のんびりしたいなら、ポルタヴァはお勧め。中途半端な都会のくせに物価だけは高いキエフよりも好きです。
それじゃ続きをどうぞ。



◆ポルタヴァへ行きましたが、「女の子に会うため」ではありません

ウクライナ東部の都市ポルタヴァへ行く途中に立ち寄っただけとはいえ、わずか3時間半で去ることになったドニエプロペトロフスク。話を聞くとポルタヴァは思いのほか遠く、3時間以上かかりそうなので速やかに出発することにしたのだ。
バスターミナルでバスを待っていると、隣に母娘らしき女性二人がやって来て話をしている。若い娘のほうはポルタヴァの大学にでも通っていて、帰省を終えて戻るところなのだろうか?お母さんらしき中年の女性は物凄く悲しそうな顔をしていて、しきりに何かを娘に話しかけている。一方、娘のほうも神妙な顔をしてウンウンとうなづいている。
これが日本なら娘のほうが「ウゼェ(゚Д゚)」とか言いそうなもんだが、こっちの人達は家族を本当に大事にしているのでそういうことは無い。いや、日本人が家族を大事にしていない訳ではないのだが、子どもは親に何か言われれば「ウゼェ(゚Д゚)」だからなぁ・・・少なくとも普段は。

などとオヤジくさいことを考えながらバスに乗り、定刻どおり9時半にドニエプロペトロフスクを発つ。街を出たバスはドニエプル川に沿って田舎道を走る。この川に沿ってどこまでもいけば、この旅の最終目的地である首都キエフにたどり着く。えーと、旅はもう後半戦突入?
バスはガラガラ。普通の路線バスなので途中から人がポツリポツリと乗り込んでくるが、次の街でどっと降りてバスは再びガラガラに、という繰り返しが続く。それから、どういう訳かこのバスは1時間ごとに休憩を取る。タバコを吸えるし、二度と来ることが無いであろうウクライナの田舎町を見ることができるわけで不満は無いのだが、急いでる人はたまらんだろうなぁ。
立ち寄った名前も知らない田舎町のバスターミナル。バスから降りてタバコを吸っていると、凄い視線を浴びる。そんなに外国人が珍しいのだろうか・・・?バス待ちしてる原住民の視線を独り占めである。嬉しくないけどな。

ポルタヴァ行きのバス
ポルタヴァ行きのバス。ボロく見えるけど普通の路線バスなので、ウクライナにしてはマシなほう。

休憩で立ち寄った名前も知らない田舎町
休憩で立ち寄った名も知らぬ田舎町。何ヶ所か立ち寄りましたが、ここは結構賑わってました。

バスターミナルの中にあったショボい店
バスターミナルの中にあった雑貨屋。ほんとに雑多な品揃えで・・・。


バスに揺られること5時間、14時30分にやっとポルタヴァに到着。5時間もかかるとは・・・。
市内に入ったところで丁度アンドレイさんから「まだかー?」という電話が来たので、もうそろそろ到着しそうなことを伝えたところ、バスターミナルまで迎えに来てくれるという。
お昼ごはんを食べてなかったので、彼を待っている間に売店でパンを買って食べる。本当はターミナルの二階にあるカフェで何か食べようとしたのだが、メニューは全部ロシア語、店員は英語を全く理解せずでギブアップして逃げ出してきたのだ。(;´д`)トホホ
ポルタヴァにやって来ても相変わらず涼しいまま。これは夜になったら冷え込みそうだなぁ・・・。昨日まで灼熱地獄で死にそうだったのに、何たるギャップ。ウクライナは広い。

パンを食べ終えると、ターミナル正面でタバコを吸いながらアンドレイさんを待つ。隣に警官が立っていたので、パスポートチェックでもされるのではないかと内心ビクビクしながら。
どうやらここは街外れのようで、周りにはソ連式高層アパート以外これといったものは無い。そんなところで警官にビクビクしつつも青空を眺めること15分、向こうから迷彩柄のパンツをはいたプチロン毛のお兄さんがやって来た。アンドレイさんだ。おーい!

ついにオフラインで面会を果たした日本&ウクライナのロック野郎。
さてさて、どうなることやら?

ポルタヴァのバスターミナル
ポルタヴァのバスターミナル。時刻表がやたら見づらいことを除き、特筆すべきものは何も無い。

何故かバスターミナルに飾ってあった軍用トラック
バスターミナルに展示してあった軍用トラックとボンネットバス。何故・・・?


《つづく》

Template Designed by DW99