【黒猫ポンセの野望】「HEARTS OF IRON II」リプレイ(その1)
新企画っす。公開すべきかどうか、かなーり悩んでいたのですが、やっちゃいます。
第二次世界大戦を舞台にしたゲームがネタなんですが、その中であの当時各国がどのような思惑で動いていたか、それが上手いこと伝われば幸いです。
あらかじめお断りしておきますが、ゲームをネタににゃおんちゃんが脳内妄想で書いたような話なので、あまりマジに受け取らないでください。それからゲームですので、史実から逸脱するような部分がたくさん出てきます。
ギャグをてんこ盛りにするつもりだったのですが、実際はひどくシリアスなものになってしまい困っています。さてさて、どうなることやら・・・。
黒猫ポンセの野望 - プロローグ
我輩は猫である。名前は「黒猫ポンセ」である。
そう、私は某所で「黒猫ポンセ」と呼ばれているのだが、黒猫はともかくポンセとはこれいかに?
その昔、大洋ホエールズ(現 横浜ベイスターズ)にいたカルロス・ポンセ(写真右)のことではない。貧乏靴下BLOGを主宰するGuicho Zurdo閣下が「トロピコ」というゲームで極端国家をシュミレートした際、側近として登場したポンセという男の名前が由来。
最近、某チャットでギチョ閣下と話す機会が幾度かあり、その際にトロピコにおける閣下の国家運営に対していくつかご意見申し上げたところ「黒猫ポンセ」と命名されてしまったのだ。トロピコの舞台はカリブ海に浮かぶ小島なので、登場するキャラもヒスパニック系。そういうわけでポンセなのである。
どうしても元大洋ホエールズのあのポンセが思い出されるが、私はこんな髭オヤジではない。
それはともかく、ギチョ閣下がシュミレートした極端国家は、
・ウガンダやジンバブエも吹き飛ぶ圧政国家
・キューバよりも真っ赤な共産国家
・バチカンよりも天国に近い福音国家
の三つ。しかし、このいずれもクーデターや暴動によって数十年で崩壊し、閣下と私ポンセは手漕ぎボートで国外逃亡する羽目になっているのであった。
そう、手漕ぎボートはゲームオーバーを意味する。
三度トロピコに挑み、三度カリブ海を彷徨うこととなったギチョ閣下。今度は民族主義国家でも作って「ウリナラマンセー!」と某キムチの国のごとき気持ち悪い政治でもするのかと思っていたところ、閣下は第二次世界大戦時のドイツにタイムスリップしていた。「HEARTS OF IRON II」(以下HOI2)というゲームでナチス・ドイツ総統アドルフ・ヒトラーを傀儡として操り、そのチョビ髭総統の定見の無さゆえに崩壊したドイツ第三帝国を勝利へ導き、千年帝国を作ろうとしているのであった。
そもそも設定に問題ありすぎだった極端国家シリーズとは異なり、今回は普通に勝利を目指すゲームで、しかも当時世界一の科学技術を誇ったドイツでプレイしているというこの現実。どうせならリトアニアやオランダといった小国でプレイして、ソ連やドイツに踏み潰される様を見てみたかったものだが・・・。
さて、ギチョ閣下率いる「ぎ印ドイツ帝国」、史実どおり地獄の東部戦線でズッコケるんじゃないかと心配していたが、ぎ印の閣下はイギリス本土を制圧し、東部戦線でも勝利してスターリンをシベリアの彼方へと追いやってしまったのだ。欧州を制覇した今、残る強敵はアメリカのみ。米帝の物量作戦に苦戦しているものの、閣下の世界制覇は目前と言ってもよい。
またしても手漕ぎボートで逃亡する羽目になることを覚悟し、シュプレー川に繰り出してはボート漕ぎの練習をしていた私だが、今度こそは手漕ぎボートで逃げ出さなくても済みそうだ。
さて、側近としてぎ印の閣下の奮闘ぶりを見ていた私だが、あまりにも面白いので自分でもやってみることにした。男子たるもの一国一城の主を目指すべきであり、このポンセはギチョ閣下の手下として理不尽な命令に耐えて一生を終える気は毛頭無いのである。ポンセ、ここに立つ!
まぁ、後で壮絶なコケかたをすると思われるので、読者諸氏は楽しみになされよ。
失業したらまた雇ってください、ギチョ閣下。
…ぼ、僕は、僕はあの人に勝ちたい - ゲームスタート前
Guicho Zurdoの定見の無さに呆れ果てたポンセは自らの手で新たな歴史を構築することを決意し、帰宅すると急いでPCを立ち上げてゲーム開始の準備をしていた。
「さて、どこでプレイしようか・・・」
ギチョ閣下に食って掛かった末に出奔したという事実は瞬く間に世界を駆け巡り、ポンセの元には様々な国からスカウトのメールが届いていた。ポンセの名前は、ぎ印ドイツ帝国の要人としてのみならず、「わがままな独裁者に仕える忠臣」としても各国に広く知れ渡っていたからだ。
ある国は彼が持つぎ印ドイツの機密情報を知るため、ある国はわがままな独裁者を諌めるため、ある国は彼がGuicho Zurdoの元で培った政治力を得るため・・・理由は様々だったが、多くの国が彼を必要としていた。
日本やソ連などの大国はもちろんのこと、その大国の狭間でもがき苦しむ小国からも多数の勧誘メールが届いていた。中でもポンセが心を動かされたのは、心のふるさとリトアニアのアンタナス・スメトナ大統領と、フィンランド救国の英雄グスタフ・マンネルヘイム元帥からの熱心な誘いだった。特に、フィンランドからの誘いは、彼にとってこのうえなく魅力的なものだった。
ぎ印ドイツ帝国がソ連との戦いを繰り広げていた頃、ポンセはヘルシンキに赴きマンネルヘイム元帥とドイツ=フィンランドの軍事同盟締結に関する会談をしたことがあった。結局、フィンランドが同盟締結を却下したため二人の付き合いはそこで途絶えてしまったが、ポンセの心の中には祖国を守るため火炎瓶で戦車に立ち向かうフィンランド兵と、雪原の中で彼らを指揮する元帥の勇姿が深く焼きついていた。
「フィンランドへ行き、彼らの自由と独立のためにこの命を捧げるのもまた一興・・・」
ヘルシンキへ赴きソ連軍と戦うことを決意したポンセがPCのモニターの前でフィンランドを選択しようとしたその時、電話が鳴った。
電話の主は、ある日突然現れたGuicho Zurdoによって一夜にして傀儡とされてしまった哀れな総統、アドルフ・ヒトラーその人であった。
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ポンセ君か?私だ、ヒトラーだ。 |
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おや、傀儡総統閣下。何か御用ですか? |
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話は聞かせてもらった。出奔したそうだな? |
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はい・・・。 |
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ポンセ君、私は悔しいのだ。私は全てのドイツ民族の指導者だったにも関わらず、突如としてあの男の傀儡にされてしまった。 |
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それは、あなたとギチョ閣下の政治闘争の結果でしょう? |
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何を言うか!あの男はある日突然現れ、有無を言わさず私から全てを奪い去ったのだ!私がドイツ国民によって選ばれた『民族の指導者』であるにも関わらずだ! あの男はドイツ人どころか、アーリア人ですらないのに! |
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それで、一体どうしたいのです?あの男を暗殺しますか? |
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私は、君が自らの手で新たなる歴史の構築を目論んでいると聞いた。 単刀直入に言おう。私に手を貸して欲しいのだ。私達がもう一度新しいドイツを作るのだ。ポンセ君、力を貸してくれないかね? |
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私は、あなたが掲げる排他的民族主義に興味はありません。 |
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ポンセ君、君は私を誤解している。私はただの愛国者だ。私はユダヤ人や共産主義者、そしてドイツを食い物にしようとしているイギリスやフランスから祖国を守りたいだけなのだ。君もドイツ国民がどれほど苦しんでいるか知っているはずだ! |
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・・・その言葉に嘘偽りは無いでしょうね? |
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神に誓おう。私の言葉に嘘偽りは無い。 |
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あなたに協力してもいいが、条件があります。ユダヤ人に対する迫害や、占領下での他国民の虐殺など、非人道的な行為は絶対に許しません。自国の利益のために他国の命運を弄ぶような真似も許しません。 |
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うむ、分かった。 |
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それから、戦時中の政治統制は止むを得ませんが、戦争が終わったら速やかに民主主義体制に移行すること。あなたには引退してもらうことになりますよ。それでもよろしいですか? |
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わ、分かった。私とてこのままGuicho Zurdoの傀儡として一生を終えたくはないのだ。どうか、私をもう一度陽の当たる場所へ連れ出してくれ! |
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分かりました。ただし、総統閣下・・・私はあなたの野望に協力するのではない。ドイツ国民を救うためにあなたに協力するのだ。くれぐれもお忘れなく。 |
こうして、フィンランドへ行くつもりだったポンセは、ヒトラー総統の懇願によってドイツに留まることとなった。
欧州制覇、そしてGuicho Zurdoへの復讐に燃えるヒトラーがいつか約束を反故にするであろうことなどポンセには分かっていた。しかし、同時に彼はヴェルサイユ条約によって課された膨大な賠償金の支払いと世界恐慌で苦しむドイツ人に深く同情していた。
「このチョビヒゲ総統を上手く操縦すればドイツを救えるかもしれない。」
そもそも第二次世界大戦の発端はドイツの暴走によるもの。そこで彼は「ならば、自分がドイツの命運を握ることによって世界を大きく変えれば、結果としてドイツ人はもちろん、より多くの人を救えるのではないか?」と考えたのだった。
戦いは避けられないだろう。ヴェルサイユ体制がこのまま続けばドイツ国民が野垂れ死にしてしまうし、彼には英米が牛耳る現在の世界秩序を受け入れるつもりなどサラサラなかった。
そして何より、ポンセの心の中にはGuicho Zurdoに対する強い反発心があった。
「よく聞けポンセ、お前はこのゲームに勝てん!勝てるわけがない!勝てる余地など微塵もない!お前は負け猫ポンセじゃ!わしを出し抜こうなど100年早いんじゃ!」
ギチョ閣下のこの叫びはポンセの心に深く突き刺さっていた。啖呵を切ってギチョ閣下の元を飛び出した手前、彼は何としてもギチョ閣下に負けたくなかった。
「…ぼ、僕は、僕はあの人に勝ちたい」
こうして、ポンセはGuicho Zurdoと同じドイツを選択し、彼を超えることを誓った。
≪つづく≫





